2月の中学入試本番を終えると、たくさんの塾からその年の「合格実績」を掲げたチラシが新聞に折り込まれます。と同時に、週刊誌が「中学受験に強い塾」などといった特集を組み、これらの実績数値に基づいて各塾の「力量」を分析、判断することもあります。
もちろん、これらの数値には参考になる面もありますが、保護者はその数値に惑わされない、あるいは、頭から信用しないという姿勢を持つことが大切です。
「御三家合格200名!」とか「難関国私立中学校1000名!」といったその数値を築いたのは所詮「他人の子」なのです。わが子がそこに入れるかどうか分かりません。
そして、これらの合格実績から決して伝わらないことがあります。それは「不合格者数」です。首都圏の中学入試は激戦であり、第1志望校に合格できる子のほうが圧倒的に少ないのですから。
しかも、これらの合格実績にはある「カラクリ」があります。この点を保護者は押さえておくべきでしょう。
次の表を見てください。
大手塾を中心に、幾つかの塾の2020年度の主要難関中学校の合格実績数値が示されています。
ここで注目してほしい値があります。
「各塾合格者総数」と「入試合格者数」です。後者は学校側が発表した2020年度の合格者数(補欠合格・繰り上がり合格を含む)です。
「あれ? 何だかおかしいな?」
そう思いませんか。
そうなのです。どの学校も「各塾合格者総数」が「入試合格者数」を大きく上回っています。これは何を意味しているのでしょうか。