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帝国ホテル「30泊36万円」も話題!「住むホテル」「多拠点サブスク」で宿泊需要は戻るか?

コロナ禍でホテル利用需要が低迷する中、帝国ホテルが月額36万円からという同ホテルとしては破格の価格設定でサービスアパートメントプランの販売を開始した。まず2月1日から3-7月分の予約受付を行なったところ、全99室があっという間に売り切れたと言われている。これはホテルの新しい利用形態の幕開けとなるのであろうか?

20年間、外資系不動産会社でホテル投資や開発のアドバイザーを務めてきた、立教大学大学院特任教授・沢柳知彦氏が、老舗ホテルや新興企業が続々参入する「サービスアパートメント」や「サブスクリプション」型のビジネスモデルに込められた思惑をさぐる。

新分野に参入する帝国ホテルの思惑

これまでもホテルニューオータニや京王プラザホテルといった、客室在庫が1,000室を超える都心立地の大規模高級ホテルが同様の月額プランの販売を行なってきているが、帝国ホテルは専属スタッフを配置するほか、定額ルームサービスメニューを開発したり、客室フロアを改装し共用の洗濯乾燥機や電子レンジを設置したりすることを発表しており、他社より一歩踏み込んだ内容となっている。

商品の売れ行きを見て存続させるかどうかを決める季節性の「商品プラン」ではなく、プランとして使う客室を特定し、クラブラウンジがつかえるクラブフロアやスイートルームと同様の「定番商品」として売り出しているのだ。

左が月額(30泊)360,000円の「スタジオ」、右が月額600,000円のプレミアスタジオ(帝国ホテル リリースより)

これが何を意味するかというと、ホテル利用需要はコロナ禍で変容しており、帝国ホテル経営陣は需要が従来通りに回復するとは考えていないということだ。

 

コロナ禍でホテル業界は宿泊需要の激減に直面し、近隣住民が日帰りで利用できるリモートワークプランや、休暇をとりながら仕事も行なえるワーケーションプランなどの商品を造成してきたが、いずれも緊急対応的な要素が強かった。

これらのような既存の設備・サービスを組み替えただけの単なるパッケージ商品では、他社商品との差別化が図りづらい。客室在庫の約1割をサービスアパートメントに転用する帝国ホテルは、用意周到に新分野に参入することになる。

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