芥川賞受賞『推し、燃ゆ』の宇佐見りんが語る「“推し”と“癒し”の関係」

恋人とも家族とも違う、推しという存在
宇佐見 りん

あかりはこれまで、推しを推すことで、ままならない現実をやり抜いてきたわけです。でも、あかりにとっての背骨はいつか失われるし、失っても現実は続く。当然くるであろうその苦しさを、あるがまま書こうと思いました。

芥川賞受賞を受けて「時間がない」

―SNSなどで本の感想を見られますか?

見ますね。編集者さんが開設してくださったSNSには、たくさんの声が届きます。

自分の書きたいものはもう決まっているから、ポジティブな意見もネガティブな意見も自分の小説に影響することはないのですが、時々、ああ、伝わったんだなあと思う感想を見つけると嬉しくなります。

その瞬間は、書いていてよかったと思います。作家としてより、一人の人間としての喜びですね。

―21歳という、史上3番目の若さで芥川賞を受賞されました。受賞をどう受け止めていらっしゃいますか?

今回、芥川賞をいただけたことは大変ありがたく、嬉しいのですが、年齢のことを言えば、時間がないという気持ちが強いです。

 

尊敬する中上健次さんは29歳で『岬』を、村上龍さんは23歳で『限りなく透明に近いブルー』を書かれました。

私の今の小説はお二人の足元にも及びません。このまま年齢ばかり重ねていくのでは、と焦ることもあります。だからこそ、次作にも注力して、一生懸命書きたいと思っています。(取材・文/砂田明子)

『推し、燃ゆ』河出書房新社/1400円

『週刊現代』2021年2月20日号より

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