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土葬は違法ではない? 伝統を現代に蘇らせる「土葬の会」の挑戦

滅びゆく弔いの風習を追う

日本の伝統的な葬式である「土葬・野辺送り」が姿を消したのは、昭和の終わり頃とされている。入れ替わるように火葬が増え、現在、日本の火葬普及率は99.9%を超えた。

そんな中、土葬を望む人々の弔いをサポートし、消えゆく伝統文化を守ろうと活動している人たちがいる。現代日本で土葬をすることは可能なのか? なぜ今もなお土葬を希望する人がいるのか?

「土葬・野辺送り」の聞き取り調査を30年にわたって続けてきた高橋繁行氏が日本の千年の弔い文化を記録した『土葬の村』から、「土葬の会」の新たな挑戦を紹介する。

土葬ができない理由は法律ではない

日本では、土葬は法律で禁止されていると思い込んでいる人が意外に多い。しかし、東京、大阪など自治体の条例によって土葬禁止区域が指定されている場合もあるが、国の定める墓地埋葬法で、土葬が禁じられているわけではない。

火葬が義務づけられているのは、旧伝染病予防法によるものか、または現在の法律で定められた感染症で亡くなった死亡者だけである。

ただし、ここ半世紀ほどの間に、全国的に火葬場が整備され火葬が広まった。特に平成以降の増え方は著しく、統計データによると現在日本の火葬率は99.9%以上で世界1位である。

私の聞き取り調査の実感でも、火葬率が急増するにつれ、土葬は消滅しつつある。

そうした状況の中、2001年、市民グループによって、葬送の選択肢の一つとして土葬を推し進める「土葬の会」が発足した。山梨県南巨摩郡富士川町に本部を持ち、主宰する会長は山野井英俊さんという。

なぜ日本で土葬ができないと思われているのかを尋ねると、山野井会長はこう答え
た。

「公営の霊園を別にして、私営の民間霊園は寺院や墓地管理会社が土葬できますといえば、土葬はできます。これまでできないと思われていたのは法律で禁止されているからではなくて、『当霊園は遺骨を納めるための霊園なので土葬は受け入れていません』という霊園管理側の作った使用規則によるものなのです」

 

土葬ができる場所は極めて少ない

市民グループ土葬の会の誕生のきっかけは、発足の十年ほど前、1990年代にさかのぼる。

「90年代の初めころ、岡山県で出版関係の仕事をしていた友人が突然亡くなりました。友人には生前から死んだら土葬されたいと聞かされていたので、同県で土葬できる場所はないかと葬儀社に問い合わせたところ、土葬できる場所はどこにもありませんという返事でした。そのときに、いつでも土葬できる安全な場所を確保しておく必
要があるなと痛切に思った。それがきっかけでした」
と山野井会長は言う。

安全な土葬墓地を探しているうちに、偶然、山梨県の最北端の市、北杜市に土葬できそうな霊園を見つけた。霊園の管理会社と交渉した結果、土葬できる場所を確保できることになった。風の丘霊園という。

同霊園に、樹木葬ができる自由区画があり、その隣に土葬のできる区画を確保することに成功したのだ。

そして風の丘霊園で土葬の実績を積んだ2001年、土葬が今でもできることを広く発信したいという思いから土葬の会は発足した。現在までに同霊園での土葬の実施例は約十件を数えるという。

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