研究室に欲しい! 実験の相棒「マイクロピペット」の最新トレンド

世界最軽量ピペットの開発者を直撃!
リケラボ プロフィール

世界最軽量級! 驚きの軽さと押しやすさを実現

──まずは早速「Nichipet Air」のイチ押しポイントを教えてください!

徳地さん:今回の開発でいちばん力を入れたのは、やはり軽量化です。ピペットには二種類の「軽さ」があります。ひとつは物自体の重さ。もうひとつは、ピストンを押す力の軽さです。「Nichipet Air」では、たとえ0.1gでも他社を越えトップを目指そうということで、10年ほどかけてこの両方の軽さで世界最軽量級を実現しました。

──使ってみると本体だけでなく押し心地も本当に軽くて、繰り返し操作しても疲れにくそうだと感じました。

高橋さん:ピペットは60個前後の部品によって構成されています。従来は、その部品の8割ほどが樹脂で、それ以外には金属部品などが使われていました。

「Nichipet Air」は、この金属部品を極限まで減らしたことで、軽さを実現しました。実に95%以上が樹脂パーツで構成されています。

もちろん、ただ軽ければいいというわけではなく、強度を保つことも重要なので代替材料の選定にはかなりこだわりましたね。パーツごとにさまざまな樹脂を使い分け、軽さと耐久性を両立しています。それに加えて、高性能であることが見た目で分かるように、樹脂でも安っぽく見えないという点も大切にしました。

高橋さん:また、ピストンの軽さについてはグリス(潤滑剤)の進化がカギになっています。本体の内部ではピストンで空気を出し入れすることによって液体を吸い上げるのですが、気密性を保ちながらピストンをなめらかに動かすためにグリスを塗っています。

この性能がアップしたことによってストロークの軽さを実現できたとともに、オートクレーブにかけても洗い落とされにくくなり、メンテナンスの頻度も大きく下げることができました。

軽さだけでなく、スペックも自己ベストを更新

徳地さん:気になるスペックについても、もちろんこだわりました。従来のピペットのなかでいちばんのスペックを実現しています。ピペットで求められるのは、絶対精度(安定性)と、繰り返し精度(再現性)です。0.1μLという微細な量でも、いかに正確にとれるか、そして安定して繰り返し作業ができるかというのがピペットの一番重要な機能です。

──「Nichipet Air」ならではの工夫したポイントはありますか?

高野さん:基本設計を大幅に見直しています。ピペットは空気を利用して液体を吸いますが、空気というのはご存知のとおり温度で膨張します。握っている手の体温でピペット内の空気が膨張すると容量の誤差につながってしまうことがあるため、できるだけ体温が伝わらない位置にシリンダーを設置しているんですよ。

徳地さん:ほかにも、容量が表示されるカウンターの位置を使用中にも見やすい位置に変更していたり、ロックをしなくても容量設定のハンドルがきちんと固定される構造にしたり……これまでいただいてきたユーザーさんの意見をすべて反映することを目指しました。

徳地さん:今回の「Nichipet Air」は、いわばフルモデルチェンジ。金型も1から作る必要があり、まるごと作り変えるうえでの苦労はもちろんありましたが、せっかくベースから一新するからこそ、今までのモデルではできなかったことをどんどん取り入れています。

そのため、いちばんのアピールポイントとしては「軽さ」を謳っているものの、性能と操作性も合わせて、非常にバランスの良いものに仕上がっています。「すべての面において一番のものを作ろう」といったコンセプトのもと、重さや精度、操作性のさまざまなポイントで常にトップを目指すよう開発を進めた結果、高い性能と操作性、そして世界最軽量級を実現することができました。

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