足元で、韓国経済が厳しい局面に差し掛かりつつあるようだ。
新型コロナウイルスの感染再拡大や経済運営の行き詰まりで、韓国の雇用・所得環境の悪化に拍車がかかっている。
1月の完全失業率は、前月の4.1%から大きく上昇し5.7%だった(季節調整値では4.5%から5.4%に上昇)。
業種別にみると、小売や飲食、宿泊などサービス業で失業者が増加している。
感染の再拡大が雇用に与える影響は深刻だ。
文在寅大統領の経済政策が行き詰っていることは間違いない。
重要なポイントは、今のところ雇用環境の安定を回復する有効な政策が見当たらないことだ。
それに加えて、国際社会における韓国の立場も一段と不安定感を増している。
米国は車載を中心とする半導体の確保を目指して、これまで以上に台湾との関係を重視し始めた。
バイデン政権は同盟国であるわが国との関係も重視している。
その一方で、韓国の文大統領は、バイデン氏との会談の前に中国の習近平国家主席と電話会談した。
中国としては、国際社会での孤立を防ぐために韓国との関係を強化したいと考えているのだろう。
文大統領は、米中のはざまで両国との適切な距離感を見いだせずにいるように見える。
それは、日米にとって軽視できないリスクだ。