私立中高一貫校は平穏に学習に励める保証があるのかと問われれば、わたしはそうとは限らないと回答しています。
学校説明会などの場で、学校サイドが「わが校にはいじめ問題など一切ない」などと高言を吐いていたとしたら疑ってかかるべきでしょう。
学校の魅力をアピールするために臭い物に蓋をしているのであれば卑劣なやり口ですし、(あまり考えられないことですが)本気でいじめがないと思い込んでいるのだとしたら、それはあまりにもおめでたい考えです。生徒の様子に全く目を向けていないのではないかと呆れてしまいます。
ただし、公立と比較すると私立中高一貫校のほうが「民間」であるぶん、何か問題が露見した際、学校側の対応は迅速であることが多いです。
私学だから「悪評」を流されたくないという防御心もあるのでしょうが、わたしはそれよりも異動の(あまり)ない環境だからこそ、教員間の連携に優れているのが、その最大の理由だと考えています。
さらに、わたしは「改革(変革)」を叫ぶ学校にも、疑いの目を向けるべきだと考えます。
教育現場で「改革」「変革」を謳うのは軽佻浮薄だと思うのです。
なぜか。
わたしは学校文化とはリレーの「バトン」のようなものだと考えます。何層にもわたる数多の卒業生たちが緩やかに育み、醸成してきた学校の気風や行事、部活動などの「バトン」を後輩に当たる在校生たちが受け取り、そのバトンを手に中高生活を駆け抜けていく……その営みが何十年、何百年と繰り返され、現在の学校文化が存在しているのです。