綾瀬はるか、広瀬アリス、中条あやみ…冬ドラマがどこか「異様な雰囲気」を持っているワケ

堀井 憲一郎 プロフィール

入れ替わる男は「連続殺人鬼」、女が「刑事」なのだ。つまり「男と女」に加えて「悪と正義」の入れ替わりという要素が入っている。

そこがすごい。

高橋一生が演じる「悪」は(やがて綾瀬はるかと入れ替わるのだが)、快楽的に次々と人を殺していく連続殺人鬼である。

〔PHOTO〕Gettyimages
 

人類にとって、まごうことなき「悪」である。悪としての中途半端さがない。

おそらくキャラ設定として、純然たる「悪」として考えられたのだろう。

女刑事は「正義」である。

善ではない。

そもそも刑事というのは「善なる存在」ではなく、悪を退治する正義でしかない。正義というのは観念的なものだから、けっこう危なっかしい。純然たる悪を滅ぼそうとしているときは正義は善に近いだろうが、状況が変わると正義は一方的な力でしかない。正義は立場を変えると簡単に悪になる。

その内面を描くだけでドラマになるだろう「シリアルキラー・連続殺人犯」と、正義感で突っ走る刑事の人格が入れ替わっている。

その心理をつぶさに追うと、なかなかシリアスな展開になるだろうが、でもドラマの基本は「入れ替わりもの」の軽さ含みで進んでいく。

殺人鬼の身体に入った女刑事の願っていることは「もとに戻りたい」である。

深刻な事件展開を前にして、人に話せないコミカルな悩みで苦しんでいる。

ここがドラマ『天国と地獄〜サイコな2人〜』の魅力である。

シリアスだが軽い。

軽さに同調すれば、気楽に見られる。

そこが楽しい。

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