また米中対立が激化するなかで、米国によって不正会計などが追求されるケースも増えてきた。
米国のナスダックに上場していた中国のユニコーン企業、瑞幸珈琲などの不正会計が暴かれ、上場廃止となって、ついに年明けは米国連邦破産法の適用を申請した。
海南航空集団の問題も、さかのぼれば、海南航空の子会社がボーイングやハネウェルなど、米国軍事系企業の周辺に食い込み始めたことから米国側に警戒され、資金の流れの調査が始まったことがきっかけと言えばきっかけだ。海南航空の創業者の一人の王健のフランス南部の観光地で奇妙な事故死もあって、中国が何らかの共産党内部スキャンダルにつながる事実を隠避するために海南航空を管理下においたのではないか、と噂もたった。
そういう政治環境、国際環境の変化にともなって中国経済の減速期に入ったことが顕著になった2019年、中国側は2018年に本格化した債務圧縮(デレバレッジ)政策を、経済の急激な悪化を理由にいったん保留していたが、2020年になり、新型コロナ肺炎で危機に直面した世界経済がじゃぶじゃぶ金融緩和をする中で、あえて債務圧縮政策を復活させた、とみられている。
中国経済が最も早く、脱コロナを成功させて経済回復軌道に戻るならば、海外のだぶついた資金は中国を目指すであろう。その機に乗じて、財務上、経営上に問題を抱えている企業の淘汰と再建をしていこう、という目論見なのかもしれない。
だが、中国にとっても新型コロナの傷跡は決して小さくない。