面白いのはそこからの服部さんの歩み。カリフォルニアの大学院に留学して公共政策を学び、卒業後は廃棄物の問題に取り組むNGOスタッフとして南インドに滞在。麻子さんも一緒に世界を転々としながら、行政や団体としてできるごみ政策を考え続けた。でもある時、はたと思ったそうだ。個人が家の中でできることにも、すごく大きな可能性が広がっているのではないか? と。

掃除は省エネな箒とちりとり。

「意識が変わったのは『ゼロ・ウェイスト・ホーム』を読んでから。初めて翻訳した本です。この本に、ごみは個人の意思でコントロールできる、と教えてもらいました。キッチンスポンジのない生活なんて最初は想像できないかもしれませんが、なくても大丈夫な自分になれるとしたら、なんだかワクワクしませんか? それは“スポンジなしでも生きられる自由”を感じられるから。ごみを減らそうとすることは、義務ではなく、ひとりひとりに許された選択の自由だと思うんです」

蜜蝋ラップなら色や柄も楽しめる。
家族ひとりひとりのマイ水筒。

麻子さんが台所で使う蜜蝋ラップも、家族全員分の水筒も、よくよく選んで買ったお気に入りだ。納得のいく竹製の歯ブラシを見つけた時は、特に嬉しかったと服部さん。

アメリカGaia Guy社の歯ブラシ。環境に配慮した歯ブラシも毛はナイロンの場合が多いが、これは豚毛。歯磨き粉はココナッツオイルと重曹、ミントオイルで手作り。知覚過敏な長男の歯ブラシはソフトなプラスチック製。必要なものは無理をしないことも大切。

「使い捨てになるプラスチックを生活から少しずつ取り除いていくことは、暮らしを隅々まで自分色に染めることでもあります。それが環境のためにもなる。個人の力は小さいと思うかもしれないけれど、世の中の10%の人に変化が現れると、その変化は急速に広がるとも言われています。ごみゼロに挑戦する自由を感じつつ、できる範囲で続けていく。それが服部家の楽しいゼロ・ウェイストです」

服部さんと妻の麻子さん。6年前に高知に移住した。

〈PROFILE〉
服部雄一郎(はっとり・ゆういちろう)

1976年生まれ。翻訳者。主な訳書に『ゼロ・ウェイスト・ホーム』がある。最新の訳書『ギフトエコノミー ~買わない暮らしのつくりかた』を近日刊行。ブログやSNSでも暮らし模様を発信する。


●情報は、FRaU2021年1月号発売時点のものです。
Photo:Kiyoko Eto Text & Edit:Yuka Uchida

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