「やっぱり菅さんはトップに立つよりも、支える側の人なのかな。このままでは選挙の『顔』として通用するかと言うことになるね」
第1次安倍政権時代に閣僚だった自民党ベテラン議員はこう言ってため息をついた。昨年9月の菅義偉政権発足直後、この議員は「菅さんをしっかり支えていく」と語っていた。
当初は自民党内の大半の支持を受けて成立した菅政権だが、最近では支持率が大きく落ち込んでいる。早くも「ポスト菅」候補として河野太郎行革担当相や石破茂元幹事長、野田聖子幹事長代行などの名前が取り沙汰されており、その背後には二階幹事長の影がちらつく。混沌を極めた今後の政局と菅首相の後継者選びは、どのように展開するのだろうか。
そもそも政権発足当初、政界で語られていた菅氏のベストシナリオは次のような展開だ。
いずれも菅氏の総裁再選を前提にしているシナリオだ。確かに発足当初は、報道各社の世論調査で内閣支持率が軒並み6割以上に達し、自民党内では菅首相の安定した政権運営を予想する空気が優勢だった。
ところが、状況は大きく様変わりした。新型コロナ感染拡大に伴い政府対応への「後手」批判が影響し、内閣支持率は昨年12月に大幅に下落。この傾向は年明け後に一段と加速する形となった。