「シリコン・バレー」の終わり…?ハイテク企業の大脱走が止まらない!

高すぎる税、モノカルな人材集積
中岡 望 プロフィール

新たな中心、オースチン、デンバー

上記のようにシリコン・バレー脱出企業の多くはテキサス州とフロリダ州、コロラド州に向かっている。特に目立つのはテキサス州オースチンである。同市の商業会議所によると、昨年1月から11月までにハイテク企業39社が移転してきている。オースチンは“シリコン・ヒルズ”と称されるほどハイテク企業にとって魅力的な場所になりつつある。

オースチンの魅力は、市内、近郊に25の大学があるなど教育施設が整い、大卒者の数が多く、企業にとって能力ある社員を雇用しやすい環境にあることだ。さらに人種的多様性も確保され、住民の間の貧富の格差も他の地域と比べると小さく、治安が維持されていることだ。

さらに決定的なのは、シリコン・バレーと比べてオフィスの賃貸料が安いこと、社員が住むアパートの家賃が安いことがあげられる。

コロラド州デンバーもハイテク企業が向かう都市のひとつである。もともとコロラド州は避暑地や療養地であり、デンバーは日本でいえば軽井沢に当たる。筆者が訪問した印象では落ち着いた都市であった。

パランティア社の他にもフェイスブックやアマゾン、グーグルも拠点を置いている。ツイッター社の本社はサンフランシスコにあるが、2017年以降、コロラド州ボールダーへ経営拠点を移している。

デンバーは近年、最も発展を遂げた都市のひとつで、ハイテク企業などの招致に成功し、住民の賃金や生活水準の目覚ましい向上が見られる都市である。その結果、地域住民の格差が縮小し、治安も改善していることから、優秀な労働力も流入している。パランティア社がデンバーに本社を移したのは、企業のコスト削減を進めるためであった。

 

オンライン授業やプログラムを提供する新興のギルド・エヂュケーションもデンバーに本社を置いている。同社のレイチェル・カリソンCEOは「デンバーは他の競合する都市と同様に優れた人材のプールがある」と指摘している。

デンバーとボールダーは科学技術者の市場として全米トップにランクされている。昨年4月、アマゾンはデンバーの拠点で400名増員する計画を発表している。

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