ロシア製ワクチン「スプートニクV」に欧州が関心を示し始めた理由

ネガティブキャンペーン合戦の末に
小林 雅一 プロフィール

実質的には1ヵ月余りで開発

このような仕組みで2012年以降に開発・製品化されながら実際には使われなかった技術が、今になって漸く新型コロナ・ワクチンの開発に活かされたわけだ。

中国武漢でコロナ感染が確認されてから僅か1年足らずの間に、ガマレヤ研究所が(恐らく世界最初となる)そのワクチンを作り出すことができたのは、こうした過去の研究開発による経験やノウハウが蓄積されていたからだろう。

このベクター型ワクチンは1990年代に開発が始まった比較的新しい技術だが、米国のファイザーやモデルナが採用した最新型のmRNAワクチンよりは古い技術だ。その分だけ技術や経験の蓄積もあって安全と見る向きもある。

〔PHOTO〕Gettyimages

ちなみに英国のアストラゼネカや米国のジョンソン&ジョンソン製のコロナ・ワクチンもスプートニクと同じくベクター型だ。

ただ、mRNAワクチンはウイルスの塩基配列、つまり遺伝子情報だけをインターネット等から入手すれば作れるのに対し、ベクター型のワクチンはウイルスその物が絶対に必要となる。

そのためガマレヤ研究所の開発チームはコロナ感染がロシア国内で広がり始めると鵜の目鷹の目でその患者を探し回り、2020年3月中旬にモスクワ郊外の病院にコロナ患者が入院したのを知ると、早速ここに出かけていってウイルス・サンプルを入手した。

これをもとにチームはワクチン開発に取り掛かり、早くも2週間後には新型コロナ・ワクチンの原型となる化学物質を生成することに成功。ここから猿等を使った動物実験を経て同年4月には半ばワクチンを作り出した。そして臨床試験を経ることなく、開発チームの科学者らが自身の身体にワクチンを接種したとされる。

 

ここで安全性等に問題がないことを確かめると、若干の改良を加えて同年8月にはプーチン大統領に新型コロナ・ワクチンの完成を報告。大統領は大いに満足し、このワクチンは国威発揚のため、1957年にソ連が打ち上げた世界最初の人口衛星に因んで「スプートニクV」と名付けられた。

ちなみにVはワクチン(Vaccine)のVとされる。

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