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ロシア製ワクチン「スプートニクV」に欧州が関心を示し始めた理由

ネガティブキャンペーン合戦の末に

ひっ迫するワクチン事情

新型コロナ・ワクチンの世界的な争奪戦が過熱する中、ロシア製ワクチン「スプートニクV」への需要が高まっている。

すでにラテン・アメリカやアフリカ、中東諸国を中心に50ヵ国以上が同ワクチンを先行予約し、そのうち12ヵ国以上で実際に供給されることが確定。また、欧州でも、英国やドイツのように関心を示す国が出始めている。

背景には、言うまでもなく世界的にひっ迫するワクチン事情がある。

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ファイザーやモデルナ、アストラゼネカなど人気のある欧米製ワクチンは、EUが域内生産したものに輸出制限をかけるなど、世界各国の間で奪い合いや囲い込みのような状況が生じている。

これに対し、ロシアや中国製のワクチンは国際的に不人気である分、比較的手に入り易いので、コロナの感染拡大を抑えるために背に腹は代えられぬという動機から、各国政府はこれらのワクチンに触手を伸ばしているようだ。

特にロシア製のスプートニクVは、今月2日にその臨床試験第3相(18歳以上となる約2万人の被験者を対象にした最終治験)の結果が英国の有力な医学専門誌ランセットに掲載され、接種の安全性と91.6%という高い予防効果が発表された。このように権威ある学術誌でお墨付きを得たことも、ここに来て需要拡大の一因となっている。

https://www.thelancet.com/action/showPdf?pii=S0140-6736%2821%2900234-8

ただ、ランセットの査読者らはスプートニクVの治験結果を紹介する短い記事の中で、「このワクチンの開発は不作法なまでに性急で本来必要な工程が省略されているばかりか、透明性が欠如していると批判されてきた」と指摘。その上で「しかし今回の報告はその科学的な原則を明快に示したことから、新型コロナと戦うための新たなワクチンが登場したと考えていいだろう」と評価している。

 

要するに「開発過程は怪しげだが、最終的に出来上がったもの(スプートニクV)は安全で効果的であると認められたので、過去のことは水に流そう」と述べているわけだ。

こうした姿勢に対しては異論が聞かれるかもしれないが、別の見方をすれば、英国をはじめ欧米の感染状況はそうしたワクチンまで受け入れざるを得ないほど切迫していると言えるのかもしれない。

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