「滑走路に限りなく近い場所」(中島健太)

日本には「国民的アーティスト」が圧倒的に不足している…「完売画家」がコロナ禍に考えたこと

コロナショックで「当たり前」が崩壊した今、未来をどう考えればよいか。エンターテインメント業界の次代のキーパーソンたちが、コロナ禍の現在とこれからを発信する連載企画「Breaking the Wall」。第6回は、「完売画家」として知られる画家・中島健太氏による特別寄稿!

コロナ禍も1年が過ぎ、日本全体のコロナ疲れもいよいよ深刻な状態だが、僕はアートこそ今後の日本にとって重要な役割を果たしていくのではないかと考えている。

ご多分に洩れずアート業界もコロナ禍において大きなダメージを負い、大小様々なアートフェアは軒並み中止、知り合いの作家の個展も相次いで中止や延期になった。

文化庁が進める補助金制度もあるにはあるが、持続化給付金や家賃支援給付金などの支援策に比べると難解で複雑。その上、案の定時間もかかるので僕も目を通してみたが、ただでさえ事務仕事が苦手なアーティストたちにはなかなか至難な内容であった。

「好きなことをやって生きているんだから文句を言うな」

時々感じる日本のアーティストたちに向けられているそんな視線が、そのまま補助制度の不親切さにも現れているようだった。

だがそんな「好きなことをやっているアーティストが作るアート」はこのコロナ禍において日本を救うきっかけになるかもしれないと僕は考える。

「滑走路に限りなく近い場所」(中島健太)
 

動員数歴代1位!地方美術館の困窮を救う

GoToキャンペーンも停止、エンタメイベントも続々と中止が決まり、地方経済は深刻な状態だ。

かといって三密や人の移動が感染を拡大させる可能性がある以上、このコロナ禍においてそれらの再開を急ぐことは感染拡大のリスクを大きくするだけである。

そんな地方にとって頭を抱えるような状態が続くなか昨年秋、広島にある「ウッドワン美術館」で行われたアーティスト「小松美羽」による展示は一つの光明だったように思う。

広島市内からたどり着くのに2時間近くかかる山奥の美術館で行われた展示は「ウッドワン美術館」単独の展示での動員記録を大きく塗り替えたのである。2019年の年間来場者が16000人程の美術館において、僅か2ヵ月程の小松美羽の単独の展示での動員数は15160人、あくまでもコロナ対策を徹底した上でのこの動員数である。

もちろん最近では24時間テレビのTシャツのデザインを担当するなどアート業界では既に世界的に活躍するアーティストとして認知されており、彼女の認知が一般レベルまで浸透し始めていることも大きな要因であることは間違いないが、この圧倒的な結果はアートがコロナ禍においても十分に力を発揮できるとことへの大きなヒントになったのではないかと僕は考える。

編集部からのお知らせ!

関連記事