約13年間のOL生活に終止符を打ち、2014年にライターに転身。2020年のデンマーク留学を期に、活動拠点を北欧に移した小林香織さんの連載。現在、小林さんが住むフィンランドの首都ヘルシンキには、現地在住の多くの日本人を顧客に抱える日本人美容師・梅沢紳哉さんがいる。

美容師一筋30年、ヘアサロン激戦区である東京・原宿で半年先まで予約が埋まる人気ヘアサロンを経営していた梅沢さんが、50代を目前に選んだ夫婦でのフィンランド移住。移住から2年弱が経過した今、50歳からの人生への期待、過去の自分に思うことを聞いた。

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ほっとするヘルシンキのヘアサロン「JEFF」

約2,000人の日本人が居住するといわれるフィンランド。現地のパートナーや家族と暮らす人、留学や就業目的で滞在する人、スポーツや芸術分野で活動する人などさまざまだが、美容師という職業は国内在住の日本人に注目されやすいかもしれない。ハーフを除く純粋な日本人の美容師は、おそらく国内唯一の存在で直接関わりを持ちやすいからだ。

昨年6月にヘルシンキに拠点を移した筆者も梅沢さんの顧客のひとり。今回は、施術を受けながらリラックスして取材に臨んだ。

“ヘルシンキ唯一の日本人美容師”として、現地在住日本人によく知られている 撮影/小林香織

ヘルシンキの中心街から少し離れた静かな場所にある「JEFF」は、梅沢さんがすべての工程をひとりで接客する。1対1の気兼ねなさと親しみやすい梅沢さんの人柄が相まって、つい深い悩みまで話してしまう。お客様としてキッチリ線引するというより友達に近いラフな接客で、時には施術後に顧客と一緒に散歩に出かけるなんてこともあるそうだ。

2019年春のオープンから派手な宣伝は打っていないが、顧客の口コミを中心に人気を広げている。日本人を中心としたアジア人のほか、最近は現地人もちらほらやってくるという。