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消えた「中学受験生」――加熱する「中学受験」の世界に呑み込まれた家族

令和の中学受験 保護者のための参考書(プロローグ)
いま中学受験が第3次ブームを迎えているのをご存じだろうか​。いかなるジャンルでも、何かがブームになると「まがい物」が混入したり、誤った情報が流布したりするものです。
これらの「不純物」から目を背けずに、あるべき「令和の中学受験」を提唱したい、という思いで計27年間中学受験の世界に身を置く作者、矢野耕平​が受験で後悔しない方法を伝授。塾の新学期は2月から…『令和の受験 保護者のための参考書』で保護者も中学受験を“正しく”理解しよう。予約受付中の新書から、注目章を毎日連載!

卒業間際に「消えた」中学受験生

昨年のことです。小学校の卒業式が迫っている2月上旬、都内湾岸地域在住の小学校六年生の少女(仮にA子さんとしましょう)が、通学する小学校からその姿を突如消したという話を耳にしました。

「また今年もそんなことが繰り返されるのか……。かわいそうな子だな」

わたしはこんな感想を抱きました。

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申し遅れました。ここで自己紹介をします。わたしは世田谷区と港区で中学受験専門塾を営んでいる者です。この世界に入って28年目になるいまも、連日、小学生の子どもたちを対象に教鞭を執っています。

さて、このA子さんの話をわたしに教えてくれたのは、中学入試を終えたばかりの「旧塾生」の女の子です(仮にB子さんとしておきましょう)。

「消えた」A子さんはわたしの塾には通っていませんでしたが、この子のエピソードは何ヵ月も前から仄聞(そくぶん)していました。

中学入試直前期に、A子さんとの付き合いに困ったB子さんから、わたしはたびたび相談を受けていたからです。

「ねえ、B子は○○中学校が第一志望校でしょう? わたしもそうなんだよね」

小学校のクラスメイトのA子さんに、突然そう話しかけられたB子さんはびっくりしたそうです。A子さんの言う通りでしたから。彼女とは通っている進学塾も違えば、志望校の話など小学校の中でしたことがないのに、どこでどう漏れたのでしょうか……。

 

それ以来、A子さんは、B子さんの志望校や学習状況、模擬試験の結果などを執拗に探ってくるようになったのです。

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