"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
歴史を変えた大発明
1794年の今日(3月14日)、アメリカの発明家イーライ・ホイットニー(Eli Whitney、1765-1825)が綿繰り機の特許を取得しました。
アメリカ東海岸・マサチューセッツ州に生まれたホイットニーは、名門・イェール大学を卒業後に南部のジョージア州に移住し、綿花の大規模農園(プランテーション)を目撃しました。綿花の実から種をより分ける手作業は大変な重労働であり、彼は機械の力で作業を簡略できないかと考えました。

こうして発明されたのが、ホイットニーの綿繰り機(写真)です。側面にはハンドルがついており、これを回すことで内部のローラーが回転します。ローラーに取り付けられたフックがワイヤースクリーンの間から繊維だけを引き出し、種はスクリーンを通過できずに残るという仕掛けです。
隙間から繊維だけを引き出すという原理の綿繰り機は古くから利用されていますが、ホイットニーが発明した機械は、ワイヤースクリーンと詰まりを防ぐための回転するブラシが効果的に働き、それまでの機械よりも効率を格段に上げることができました。
ホイットニーの綿繰り機は、手回し式の小さなものと水力や馬の力で動く大きなものの2種類があります。彼の発明によって綿の採取が効率化し、南部の綿花産業は国を代表する産業になりました。一方で、プランテーションでの労働力の需要が増高まり、これに対応するために奴隷制がより推進されていくという負の側面も生まれました。