指示がなくても団子にならない理由

認知に関するアプローチでいうと、例えばフットボールの「団子になる」現象がありますが、子どもたちが団子にならないよう指導者が何らかの指示を出すことは一切ありません。ついつい指示を出したくなる衝動と常に戦っています。

全員がボールだけ見てボールに集まる「団子状態」に子どもはなりがちだ Photo by iStock

ところが、ビジャレアルの5歳児は団子になりません。なぜなのか? 私たちが普段行っているのは、以下のようなアプローチです。

1)「団子になる」のは、自然の「現象」である、と受け止める(否定しない)。

2)「団子になる」ことで得る子どもたちの「気づき」をスルーせず、あえてそこに留まり、彼らと対話する。
「団子になっちゃうとボールがもらえないねえ」
「みんなボールを触れたかな」

3)3歳児には3歳児、4歳児には4歳児、5歳児には5歳児なりの「気づき」があるもの。彼らに「問いかける」ことで、彼らの「見ている景色」を知り、そこに一緒に立ってみる。
「どうしたらパスがもらえる?」「どうすればパスできるかな?」と問いかける。
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2014年の指導改革スタート前は、団子にならないようにと、カラーマーカーをセッティングし、一人ひとりの子どもをそれぞれのポジションに立たせるなどしました。振り返ると、なんと未熟な指導だったのかと恥ずかしく思いますが、前出の3つのアプローチを軸とした改革を経て、少しずつ進化しています。

「失敗できる環境を提供することこそが、選手にとっての学びのチャンスとなる」
そのような理解にたどり着きました。指導者の一方的な教え込みや、細かな修正、ティーチングはNG。選手が心地よく学べて、失敗しても責められない環境を目指すことにしました。

よくよく考えると、時代は変わり、環境は変化します。であれば、私たち指導者の成功体験は通用しなくなります。ビジネスも教育も同様にパラダイムシフトしなくてはいけません。