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恥ずかしがる人ほど生きにくいけれど愛される、その心理学的理由

幼児の頃からその人の道徳的特質が見える
目立ちやすい外向型人間より、物静かな内向型人間のほうが成功しやすいという、一見常識とは異なる事例をまとめたスーザン・ケインの著書『内向型人間が無理せず幸せになる唯一の方法』(講談社+α新書)。著者によれば、「敏感すぎる」恥ずかしがり屋の人がクールな外向型人間になれなくても、けっして悲観することはないという。むしろそういう特質のほうが周囲から愛されるからだ。

罪悪感を抱くのはむしろ有益

敏感さと良心とのつながりは、かなり以前から観察されてきた。発達心理学者のグラツィナ・コハーニスカは、こんな実験をした――よちよち歩きの幼児に女性が玩具を手渡し、これは私の大好きな玩具なので大事にしてねとやさしく語りかける。幼児はまじめな顔でうなずき、その玩具で遊びはじめる。すると、じつはあらかじめ細工してあった玩具が、たちまち壊れてしまう。女性は「あら、大変だわ!」と驚いた表情を見せる。そして、幼児の反応を見るのだ。

 

大切な玩具を壊してしまったことで、一部の幼児はとくに強く罪の意識を感じていた。彼らは顔をそむけ、自分の体をぎゅっと抱きしめ、自分が壊したと口ごもりながら告白し、顔を隠す。罪悪感をもっとも強く抱くのは、非常に敏感で、高反応であり、内向的に育つだろうと思われる子供だ。彼らは特別に敏感で、物事に大きく動じやすいために、玩具を壊されてしまった女性の悲しみと、自分がなにかされるのではないかという不安の両方を感じるようだ(念のためにつけ加えるが、女性はすぐに「直した」玩具を持ってきて、大丈夫だと子供を安心させる)。

私たちの文化では、罪悪感とは悪い意味を持つ言葉だが、良心を築く積み木のひとつだとも言える。とても敏感な子供が他人の玩具を壊してしまったと思い込んで不安を感じると、同じことをくりかえさないように動機づけされる。コハーニスカによれば、四歳の時点で、そういう子供は、「見つからないとわかっている場合でも」ズルをしたりルールを破ったりすることが比較的少ないそうだ。そして、六、七歳になると、両親の目から見て、共感などの道徳的特質が高レベルである例が多い。また、おしなべて問題行動が少ない。

「有益なある程度の罪悪感は将来的に利他主義や責任感、学校での適応行動、両親や教師や友人と協調的で有益な関係を築く能力を育てるのかもしれない」とコハーニスカは書いている。二〇一〇年にミシガン大学で実施された研究によれば、大学生の共感性は三〇年前よりも四〇%も低下し、とくに二〇〇〇年以降では低下が著しいというのだから、これはとても重要な発見だ(この研究の実施者たちは、共感性の低下はソーシャルメディアやリアリティテレビ番組や「極度の競争社会」と関係があると推論している)。

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