新型コロナ、「パチンコ・保健所・夜の街・若者」を敵認定する人々が抱える「深刻な問題」

分断と排斥を超えるには
原田 隆之 プロフィール

見えない敵との闘い

攻撃の対象となるのは、保健所ばかりではない。

振り返ると、最初の緊急事態宣言のさなかに槍玉に挙げられたのは、開業しているパチンコ店やそこに並ぶ人々だった。夏には、地方へ帰省した人々に「帰って来るな」という批判が集まり、中傷ビラが貼られた家もあった。

第2波のときには、「夜の街感染」という言葉が躍り、ホストクラブなどで働く人々が非難の対象となった。そして第3波では、飲食店が営業自粛や閉店を余儀なくされている。また、若者に対しては、いつも批判の矛先が向けられている。ほかにも、相変わらず街なかには自粛警察やマスク警察などと呼ばれる人々が跋扈している。

〔PHOTO〕iStock
 

もちろん、クラスターが起こった場所を特定することは大切である。また、感染制御の観点から会食や飲酒のリスクが高いことはよく理解できる。したがって、これらの流れのすべてが間違っていると言うつもりはない。

しかし、ともすれば合理的範囲を超えて、いたずらに悪者を仕立て上げ、排斥や非難の目が向けられることが繰り返し起こっている。そして、そこには「原因帰属の誤り」という認知のゆがみが指摘できる。

感染拡大のなかで、人々は大きな不安を抱く。これは自然なことだ。しかし、その対処を誤ることがある。人は、不安の原因が目に見えないものであるとき、目に見える「仮想敵」を作って、それを攻撃することで不安や怒りを鎮めようとする。

このときに「原因」とされた「仮想敵」が、必ずしも真の原因でない場合や、その脅威を過大にとらえすぎている場合があり、そのときは因果関係を間違って理解していることとなる。これを「原因帰属の誤り」という。

不安のあまり、特定の属性を有する人々をいたずらに排斥したり、ヒステリックに反応したりすることはその最たるもので、それは深刻な分断を生み、大きな禍根を残すことになるだろう。

古くはハンセン氏病、最近ではHIV感染症のように、このようなことはこれまでも何度も繰り返されている。

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