2021.02.10
# 企業・経営

貧乏な国になった日本で「若者の自動車ばなれ」を防ぐ「たった一つの方法」

このままでは自動車業界が危ない
加谷 珪一 プロフィール

「外車は売れない」も怪しくなる

筆者が何を言いたいのかはもうお分かりいただけるだろう。巨大IT企業がITサービスありきのクルマを市場に投入し、水平分業化で30万円まで価格が下がることが予想されている今、従来と同じ基準で勝負すれば、本当に悲惨な結果を招いてしまう。

日本の自動車メーカーは、EVシフトに対して全方位戦略で臨んでいるとされるが、現時点では明らかにピュアEVに対して消極的と言わざるを得ない。今、小学生くらいの子どもにとっては、再生可能エネルギーはあって当たり前のものとなる。クルマを購入する年齢になれば、多くのクルマがEV化されており、しかも各種ITサービスと完全に連動しているだろう。ガソリン・エンジン時代のブランドなどまったく頭にない可能性が高く、こうした状況において、新しい消費者はどのようなクルマを選ぶだろうか。

 

もし、日本メーカーのラインアップの中にピュアEVが少なく、アップルのような外資系IT企業が製造するITオリエンテッドなEV、あるいはGMやフォードといった海外の自動車メーカーが製造する汎用EV、中国メーカーが製造する極めて安価なEV(現時点ですでに中国では45万円のミニEVが飛ぶように売れている)など、豊富な車種が揃っていた場合、日本メーカーのクルマを積極的に選んでくれる保証はまったくない。

クルマに対する根本的な価値観が変化している状況においては「日本市場では高級車以外の外車は売れない」という常識も疑ってかかるべきだ。

ちなみに筆者が若い頃は、ホンダ車が好きで乗っていたが(5速マニュアル車)、15年後、知人に「ホンダのクルマが好きだった」と言ったところ、「家庭的な人ですね」と返された。業界に大きな変化がなくても、ブランドイメージが変わるのは一瞬であり、ましてや今は100年に1度のパラダイムシフトが発生している。

日本の自動車メーカーのEV化対応が消極的であるという主張に対しては、どういうわけか猛烈な反論が出てくるのだが、変化への対応は早い方がよいに決まっている。筆者は本気で日本の自動者メーカーの行く末を心配している。

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