2021.02.10
# 企業・経営

貧乏な国になった日本で「若者の自動車ばなれ」を防ぐ「たった一つの方法」

このままでは自動車業界が危ない
加谷 珪一 プロフィール

従来基準の優劣は完全に無意味化する

CDが登場した時も同じである。少しオーディオに詳しい人であれば覚えていると思うが、CDが登場した当初、高音域(20KHz以上)がカットされているので音質が良くないという議論があった。高音域が原因なのかは諸説あるが、それはともかくCDの音はあまり魅力的ではないので、なかなか普及しないという見解が多かったのは事実だ。

筆者は大学時代ジャズ研究会に所属していたくらいなので、アナログ・プレーヤーの音はたくさん聞き込んできた。今でもレコードや真空管アンプの音は好きだが、現実問題としてCDの圧倒的な利便性に勝てるわけもなく、CDの普及と同時にすぐにCDに切り換えた。

〔PHOTO〕Gettyimages
 

MP3プレーヤーが出てきた時にも同じ論争があった。音源データを圧縮しているわけだからMP3プレーヤーの音がよいワケがない。だがファイルで管理できる利便性は圧倒的であり、そうこうしているうちに、今度はストリーミングのサービスが市場を席巻した。

極めつけはスマホだろう。パソコンに馴染んだ世代からすれば、スマホは操作性が悪く処理能力も低いので、使いにくいことこの上ない。だが身につけられるというメリットは何ものにも代えがたく、操作性や視認性が悪いことは優劣の対象にならない。生まれた時からスマホが身の回りに存在する、いわゆるデジタルネイティブ世代にとっては、それこそ存在して当たり前のモノであり、他の製品と比較するという発想すらないだろう。

パラダイムシフトというのは常にこういうものであり、製品やサービスに対する根本的な価値観が変化するので、従来基準の優劣はすべて無意味化されてしまうのだ。

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