2021.02.10
# 企業・経営

貧乏な国になった日本で「若者の自動車ばなれ」を防ぐ「たった一つの方法」

このままでは自動車業界が危ない
加谷 珪一 プロフィール

しかしながら、若い世代がクルマを積極的に欲しがらないのは諸外国でも共通して観察される現象である。米国では高校生になるとクルマの免許を取るのは当たり前のことだったが、近年は10代で免許を保有している比率は25%程度まで下がっており、クルマを初めて購入する年齢も上がっているという。

中国のメディアでも、若者があまりクルマを好まなくなっているという記事が目立つ。両国は日本とは異なり、所得が大幅に拡大しているので、必ずしもお金が原因ではない。

若者がクルマを好まない最大の理由は、社会のIT化と言われている。日本以外ではライドシェアのサービスが急拡大しており、スマホがあれば移動に苦労することはない。何より、クルマの運転中はスマホをいじれないので、四六時中スマホを通じて友だちとつながっていたい若年層にとっては、クルマの運転はむしろ邪魔な作業となっている。

かつてはクルマで移動して友だちや異性に会いに行く必要があり、そうであればこそクルマが必須だった。人とつながりたいという欲求が最上位にあるのはいつの時代も同じであり、今はスマホという便利な手段が存在している以上、クルマに目が向かないのは当然だろう。

 

「ウチの業界は違う」の危うさ

若者を取り巻く一連の状況を考えれば、自動車業界が若者を取り戻す方法はシンプルである。他者とつながりたいという若者の欲求を満たす最大のツールがITならば、クルマをITオリエンテッドな製品(あるいはサービス)に変えればよい。現実的にはITサービスと連動した自動車のサービスや、自動運転サービスということになる。

自動車が所有するものから、利用するものへと変化するという、パラダイムシフトが発生しつつあるのは以前から指摘されてきたことだが、自動車メーカーの対応はかなり消極的だったといってよい。だが、将来の出来事と思われていたパラダイムシフトはすでに現実のものとなっている。

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