武田良太総務大臣は1月22日、総務省情報通信審議会に対して「公衆電話のあり方」についての検討を指示した。今や、めっきり見かけることが少なくなった公衆電話。果たして、公衆電話は姿を消してしまうのか?
公衆電話は携帯電話の普及、人口減少や過疎化の進展などにより利用が減少し続けている。
1993年には設置台数が93万4903台に達したが、その後は減少の一途を辿り、2019年度末の設置台数は15万1313台と83.8%も減少している。
2019年度末の携帯電話台数は1865万4109台と公衆電話の約123倍も普及している(表1)。
2020年12月に総務省が行ったアンケート調査(回答数2100人)でも、「過去1年間に公衆電話を利用していない」が74%にのぼり、「公衆電話が見つからず困ったことがある」との回答は28%、「生活圏で公衆電話の設置台数を減らしても困らない」と回答した人は45%にのぼっている。
実は公衆電話には「第一種公衆電話」「第二種公衆電話」「災害時用公衆電話」の3種がある。
第一種公衆電話は、電気通信事業法施行規則で「市街地は概ね500m四方に1台以上、その他の地域は概ね1km四方に1台以上設置」という設置基準が設けられている。
これは、第一種公衆電話がユニバーサルサービス(基礎的電気通信役務)として法的に公衆電話の設置が義務付けられているため。
これに対して、第二種公衆電話は公衆電話の利用が多く見込まれる場所にNTT東日本とNTT西日本によって設置されるもので、ユニバーサルサービスの対象外となっているため、設置・撤去の規制はなく、おおむね利用額が月額4000円未満のものを随時撤去している。
公衆電話(第一種、第二種合わせた)の通信回数(利用回数)の直近10年間の推移を見ても、2010年度に2億1800万回から2019年度には4400万回と約5分の1にまで減少している。
このため、設置・撤去の規制がない第二種公衆電話の設置台数は急激に減少している。
問題は公衆電話を設置・維持しているためのコストにある。