大炎上の森喜朗「女性差別発言」、孫娘との会話から「深刻な問題」が見えてきた…!

私たちが森氏を語る理由
井戸 まさえ プロフィール

森氏に限らず、家父長として権力を振るう男性は、家族である女性たちが社会において○○の妻、○○の娘、○○の孫娘というのが価値として成立させることで権威を保つことができる。

それが家長が恥ずべき存在として認識され、○○の娘の価値が低下したならば、家長の権力は機能しなくなる。つまり「家長」の役目が揺らいだからこそ、森総理は自らの発言を「謝罪」「撤回」するべきものと悟った、というのである。

〔PHOTO〕gettyimages

その妻や孫娘たちはどのような思いで、この言葉を発したのだろうか。

「すぐ辞めて。もう命を削ってまで仕事をしなくていい。おじいちゃんが辞めなければ、私が会社を辞める」という孫娘の言葉が正確に表現されたものだったならば、彼女が代弁したのは、森氏が誹謗した女性たちの心情ではない。

あくまでも、「命を削って仕事をしている森氏の立場を肯定」し、「(愛する祖父)森氏の命を温存するために仕事を辞めてくれと願い」、そうでなければ自分が仕事を辞めるというソフトな脅しをしてまで、祖父の身体を気遣っている風である。

拡大して解釈しても、祖父森氏の発言により、「会社での自分の立ち位置が危うくなったではないか。撤回してくれなければ非難は続き、自分の居場所と立場を失う。さっさと撤回しろ」……つまりそれは、あくまで「森喜朗の孫娘」という立場の価値付けの話であって、森氏の時代錯誤のジェンダー感覚をアップデートする類の言葉ではない。

政治家の妻や家族は一蓮托生業だ。夫の、父の位置が自分の価値と直結する。森氏の家族も、これまでも失言で恥ずかしい思いをしてきたものの、一方ではなんらかのプラスがあったからこそ、夫の、父の誤りを根本から正すことはなかったのだろう。

 

今後の人生に「森の孫」という負の遺産により、個別具体の差し障りとして出てくる可能性が出たときに、その中身はわからないが、ようやく真剣に意見したということか。

重ねて言うが、電話の内容が正確かどうかはわからない。森氏一流の焦点はずしであるとも思う。しかし、森氏は、こうして、森喜朗の妻、娘、孫娘の話は聞くが、フェミニストの話には耳を傾けない。まさに、「家庭内/外」の発言を区別して、「わきまえた女」の意見は聞くが、外の意見は「いかがわしい」から聞かなくていいと思っているのであろう。

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