意外に多い、「めんどくさい」という理由

男女ともに目立ったのが、「めんどくさい」が離婚を阻んでいるケースだ。財産分与、家の引き払いや引っ越し、届出などの膨大な事務手続き。職場、親族、友人に離婚の事実を伝えるわずらわしさや恥ずかしさ。世間から「離婚した人間」という烙印を押される屈辱。それらを考えるだけでウンザリして、結局離婚に踏み切れないのだ。

しかし、「めんどくさいから離婚しない」は、「最近体の調子が悪いけど、何か病気が見つかると厄介だしお金もかかるから、健康診断に行かない」と同じくらい、愚かである。

深刻な病気が自然治癒しないのと同じく、破綻した夫婦関係はいくら我慢したところで元には戻らない。病気も不仲も、放っておけば、その後の人生を不本意な状態で過ごし続けることになる。「めんどくさい」で離婚を先延ばしする代償は、あまりに大きいのだ。

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あなたの人生は、配偶者の人生ではない

そして、離婚を先延ばしにする傾向は男性のほうが強いように思う。それは前述したように、察しの悪い男性のほうが問題に気づくのが遅いというのもあるだろう。そうした男性に多かったのが、配偶者(妻)が結婚生活の中で精神的に疲弊してしまい、もし離婚を切り出したら彼女が「思いつめた行動」に出るかもしれず、それを恐れて離婚しない、という堂々巡りなケースだ。

妻に対する情もあるだろうが、万が一、元妻に“何か”あった場合に世間から後ろ指を指されたくないという、いわゆる世間体を気にする男性も少なくない。

人は変化によって得られる得よりも、生じる損のほうに過剰に反応する傾向、いわゆる現状維持バイアスがあるという。だからどんなに苦しくても、現状を維持したほうが安心してしまうのは理解できる。ただ、その安心は、自分の人生を台無しにしてまで獲得すべきものだろうか。話を聞いた人のなかには、配偶者の気持ちのアップダウンや破壊的衝動、暴言や暴力に何年も耐え続けた果てに、自ら心を病んでしまった人もいる。その人は、そのときの感覚を「親の介護疲れによる共倒れに近い」と表現した。