2021.02.09
# 中国

日本人は知らない…中国の若者はもう「行列の割り込み」も「大声での会話」もしなくなっていた…!

中島 恵 プロフィール

2012年頃に取材して印象深かったのは、農村出身の秀才で、親が借金して、周囲の期待を一身に受けて北京大学に進学したが、同級生が皆持っている携帯電話を買うお金がなく、あまりにも恥ずかしくて、それに耐えられずに自殺したという話だった。中国では、このような悲劇はいくらでもあった。

だが、ネットで日本や世界の情報にアクセスできるようになって、中国以外の国々でさまざまなことが起こっていることを知り、「ありのままの自分でもいいんだ」といったことがわかってきて、「等身大の肩ひじはらない生き方」を求めるようになってきたのだ。私が取材したなかでは、「国を代表するような科学者になるのではなく、小さなカフェを開くみたいなささやかな夢を持ってもいいんだ」と話した若者もいた。

 

詰め込み教育が嫌われ始めた

古い価値観に縛られない柔軟な若者が増えてきたことによって、大人の考え方も変わり始め、わずかずつだが、社会全体でも地殻変動が起こっている。

前述の「高考」(大学入試)を突破するため、子どもたちが毎晩深夜まで勉強することは今も変わらない現実だが、中間層以上では、中国式の詰め込み教育を嫌い、子どもを自由な気風のインターナショナルスクールに進学させたり、幼い頃から留学させたりするなど、以前と比べれば、進学先は多様化している。その証拠に、都市部の「高考」の受験者数は少しずつ減少傾向にある。

就職についても、以前は一流大学を卒業したからには一流企業に就職しなければ、というプレッシャーがすごかったが、今では一流企業に就職しなくても、SNS上にショップを開いたり、KOL(Key Opinion Leaderの略、インフルエンサーのこと)となって動画で稼いだり、起業したりできるようになるなど選択肢が増え、それが一つの働き方、生き方として認められるようになってきた。

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