2021.02.09
# 中国

日本人は知らない…中国の若者はもう「行列の割り込み」も「大声での会話」もしなくなっていた…!

中島 恵 プロフィール

若者たちの行動やライフスタイルがここまで大きく変わってきたのは、これまでの記事でも書いてきた通り、ネットの発達により情報量が格段に増えたことが何よりも大きいと思う。同時に、社会も多様化し、以前に比べれば、さまざまな価値観が許容されるようになり、中国人として「こうであるべきだ」とか、「こうしなければ、恥ずかしくてメンツが立たない」といったことが少しずつなくなってきた。

中国には14億人もの人が住んでいるが、これまで、中国人としての「人生の勝ちパターン」は意外にも少なかったように思う。最も理想的な勝ちパターンは、北京大学、清華大学などに代表される一流大学を卒業し、有名企業に就職したり、会社経営をしたりして、結婚して子どもを持ち、不動産を買う――といったステレオタイプな生き方だ。

北京大学〔PHOTO〕Gettyimages
 

こんな固定化した理想像があり、それを実現すればメンツが立ち、周囲から羨望の目で見られるし、自分も親も鼻が高い。そのため、まずは人生最初の難関である「高考」(ガオカオ=中国の大学入試)で高得点を取り、難関大に入学することがスタート地点だった。

中国では「生まれた瞬間から高考の戦いが始まっている」というジョークもあるくらいで、難関大の付属小学校に入学する時点で、その小学校がある学区に引っ越す人が増加し、「学区房」と言われるその周辺地域の不動産が高騰するという社会現象が起きるほどだった。今でも、地方の村では、「高考」で高得点者が出ると、村中に響き渡る拡声器で、名前を発表してもらえる。

しかし、やっとの思いで有名大学に入学しても、農村出身だとバカにされたり、一流企業への就職を勝ち取っても、なかなか結婚できなかったり、地方出身者であれば都市部で不動産を購入することが難しかったりと、自分の能力や努力だけでは、如何ともしがたいことが中国社会にはあまりにも多すぎることもわかってきた。

理想的な人生の勝ちパターンを実現できる人はほんのわずかしかいないのに、そのわずかしかない席を求めて、過剰な競争が繰り広げられ、そのために他人を蹴落としたり、苦しみもがいたりする人が多かったのだ。

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