人生を好転させるのに知るべきは、自分にとって「最適の覚醒レベル」

仕事も人間関係もそれに合わせよう
スーザン・ケイン プロフィール

寝不足でもすぐれた機能を発揮するのは内向型

自分のスイートスポットを理解すれば、人生がさまざまな点でより良いものになるだけではない。それが生死に関わってくることを示す証拠もある。ウォルター・リード陸軍病院で軍人を対象に実施された研究によれば、眠りを奪われて覚醒が低い状態(睡眠がとれないと警戒心や行動力やエネルギーが低下する)では、内向型のほうが外向型よりもすぐれた機能を発揮するそうだ。外向型が眠いときに運転するなら特別に注意するほうがいい。少なくとも、コーヒーを飲んだりラジオの音量を上げたりして、覚醒レベルを高くするべきだ。逆に、内向型は騒音が激しい道で運転するときには、思考力をそがれないように意識して運転に集中するべきだ。

 

こうして最適な刺激レベルについて考えると、即興での発表が難しいというエスターの問題も合点がいく。過度の覚醒は集中力や短期記憶を阻害する。これらは即興で話すための能力の鍵となる要素だ。そして、人前で話をすることは本質的に刺激的な行為なので――スピーチ恐怖症ではないエスターのような人にとっても――内向型は肝心な場面で注意力がそがれてしまうのだ。

だからこそ、エスターは誰にもひけをとらない知識と経験を備えているにもかかわらず、準備なしで発表をするのには不都合を感じずにはいられないのかもしれない。そんな機会があるたびに、長期記憶の膨大なデータのなかから必要なものを引き出そうとして悪戦苦闘せずにはいられないのかもしれない。

ただし、いったんそうと認識すれば、発表の予定をきちんと教えてくれるように同僚に強く頼むことができる。そうすれば、発表の練習ができるので、いざ話をするときにスイートスポットにいられる。顧客との会議も、ネットワークイベントも、同僚との打ち合わせも、どれも同じことだ。集中力を高めた状況ならば、彼女の短期記憶と即興で考える能力は、ふだんよりも少しは柔軟に働いてくれるだろう。(翻訳 古草秀子)

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