人生を好転させるのに知るべきは、自分にとって「最適の覚醒レベル」

仕事も人間関係もそれに合わせよう
スーザン・ケイン プロフィール

内向型は脳に情報が伝わる通路が広い

一九六〇年代終わりから数十年にわたって、著名な心理学者のハンス・アイゼンクは、人間は強すぎもせず弱すぎもしない「最適な」レベルの刺激を求めているという仮説を主張した。刺激とは、私たちが外界から受ける力のことで、さまざまな形をとり、たとえば騒音も社交もまぶしい光も刺激となる。アイゼンクは、外向型の人は内向型の人よりも強い刺激を好み、このことが両者の違いの多くを説明すると信じた。内向型の人がオフィスのドアを閉めて仕事に没頭するのを好むのは、そうした静かで知的な活動こそが彼らにとって最適の刺激だからであり、それに対して、外向型の人はチームビルディングのためのワークショップのまとめ役とか会議の司会など、より積極的で明るい活動に従事しているときがもっとも快適に感じる。

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アイゼンクはまた、こうした違いは上行性網様体賦活系(ARAS)という脳の組織にもとづいているのだろうと考えていた。ARASは大脳皮質と他の部分とを結ぶ脳幹の一部分である。脳は私たちを目覚めさせたり警戒させたり活動的にさせたりするメカニズムを備えている。心理学者が言うところの「覚醒」だ。逆に、沈静させるメカニズムも備えている。アイゼンクは、ARASが脳へ流れる感覚刺激の量をコントロールすることによって覚醒のバランスを取っているのだろうと推論した。通路が広く開いていれば多くの刺激が入り、狭くなっていれば脳への刺激は少なくなる。内向型の人と外向型の人とではARASの機能が異なるのだと、アイゼンクは考えた。

内向型は情報が伝わる通路が広いので、大量の刺激が流れ込んで覚醒水準が高くなりすぎ、それに対して、外向型は通路が狭いので、覚醒水準が低くなりすぎることがある。覚醒水準が高すぎると、不安をもたらし、しっかりものが考えられなくなるような気がして、もう十分だから帰りたいという気持ちになる。逆に低すぎると、閉所性発熱(訳注 悪天候などで狭い室内に長時間閉じ込められることによって精神的に参ってしまった状態)のようになる。いらいらして落ち着きを失い、家から出たくてたまらないときのような気持ちになる。

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