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人生を好転させるのに知るべきは、自分にとって「最適の覚醒レベル」

仕事も人間関係もそれに合わせよう
目立ちやすい外向型人間より、物静かな内向型人間のほうが成功しやすいという、一見常識とは異なる事例をまとめたスーザン・ケインの著書『内向型人間が無理せず幸せになる唯一の方法』。それによると、内向型・外向型にかかわらず、無理して自分の気質を限界まで伸ばすことは不可能ではないが、自分にとって居心地がいい状態にとどまっているほうがいい場合が多い。著者はその最適な状態を「スイートスポット」と呼び、それを知ることが人生を好転させるという。

経験を重ねても即興の発表がヘタなのはなぜ?

私の顧客で、企業の税務を担当する法律事務所に勤務している弁護士のエスターは、青い瞳を輝かせてきびきび歩き、けっして内気ではない。だが、あきらかに内向型だ。毎朝、街路樹が並ぶ道を一〇分ほどかけてバス停まで歩くのを、なによりの楽しみにしている。つぎに好きなのは、オフィスの個室を閉めきって仕事に没頭する時間だ。

 

エスターは自分の職業を上手に選んだ。数学者の娘として生まれた彼女は、恐ろしいほど複雑な税金問題を考えるのが大好きで、そうした問題について易々と語ることができる。大規模な法律事務所は複数のグループからなり、グループ内では密接に連携して仕事をしており、彼女はもっとも若いメンバーである。グループには彼女以外に弁護士が五人いて、おたがいの得意分野を生かして助け合っている。エスターの仕事は興味を持った疑問について深く考えることで、信頼のおける同僚たちと緊密に連携していた。

問題が生じたのは、定例になっている事務所全体の会議での税務担当弁護士グループの発表に関連することだった。エスターは人前で話すことに恐怖は感じないのだが、即興で話すのが苦手なので、これが悩みの種になっていた。ところが、彼女の同僚たちは――偶然にも全員が外向型だった――ほとんどなんの準備もなしに発表をこなし、その内容は的確でわかりやすかった。

エスターは準備時間を与えられれば問題はないのだが、同僚がうっかりしていて当日の朝になってから発表の予定を彼女に伝えることがあった。同僚たちが即興で発表できるのは税法についての知識や理解が深いからで、自分ももっと経験を積めばできるようになるのだろうと彼女は思っていた。けれど、経験を重ねて知識が増えても、即興での発表が得意になることはなかった。

エスターが抱えた問題を解決するために、内向型と外向型のもうひとつの違いに焦点をあててみよう。それは、刺激に関する好みだ。

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