日本は世界から大きく取り残されるのだろうか。
新型コロナウイルス・ワクチンの接種担当である河野太郎・行政改革担当大臣は2月2日の記者会見で、「供給スケジュールに影響が出ている」と述べ、米製薬大手ファイザーのワクチン確保に暗雲が立ち込めているという事実を明らかにした。EUが域内で製造しているワクチンに輸出規制を導入したためだ。
世界ではすでに、日本以外のG7(主要7カ国)はもちろん、61の国と地域がワクチンの接種を開始した。日本の出遅れは明らかだ。
振り返れば、歴史的なワクチン行政の体たらくで、日本は「ワクチン後進国」に転落、新型コロナで日の丸ワクチンの早期開発に失敗した。次いで外国製ワクチン争奪戦の緒戦に敗れ、ワクチン接種の早期開始ができなかった。
さらに今、河野大臣は、EUのようなワクチン・ナショナリズムの台頭によって、日本政府のワクチン接種計画の縮小や遅延が懸念される事態に直面したことを示唆したのである。
ワクチン接種はコロナ危機克服の切り札とされている。後れを取れば、集団免疫の確立で後れをとり、世界的に交流再開の機運が生まれた時に、日本が締め出される懸念がある。
なぜ、これほど深刻な事態に陥ったのか。現状と原因、対策を考えてみたい。