「繊細すぎる」のは欠陥という見方を覆したのは、研究者のこの気づき

HSPの提唱者は自分も悩んでいた
スーザン・ケイン プロフィール

微妙な違いをじっくり見る脳の働き

だが、まったく新しい考えもある。とても敏感な人は、物質的・享楽主義的であるよりも哲学的・精神主義的な傾向がある。彼らは無駄話が好きではない。自分をクリエイティブあるいは直観的と表現する(ちょうどアーロンの夫が彼女をそう表現したように)。非常に詳細な夢を見て、翌朝になって夢の内容を思い出せる。音楽や自然や天然の美を愛する。激しい喜びや悲しみ、憂鬱、恐れなど、きわめて強い感情を抱く。

 

とても敏感な人は、自分の周囲の情報――物理的なものも感情的なものも――を詳細に処理する。普通なら見逃してしまう微妙なことに気づく。たとえば、他人の感情の変化や、電球が少しまぶしすぎるといったことだ。

最近になって、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の科学者たちが、そうした発見を確かめる実験をした。この実験は、一八人の被験者に二組の似たような写真(フェンスと干し草の俵が写っている)を見せて、彼らの脳の働き具合をfMRIで観察するというものだ。一組の写真ははっきりと違いがわかるが、もう一組は違いがかなり微妙な写真だ。すると、敏感な人々のほうが微妙な違いの写真をじっくり時間をかけて見ることがわかった。fMRIからも、画像と貯蔵された情報とを結びつける働きを司る部分がより活性化しているのがわかった。つまり、敏感な人々はそうでない人々よりも入念に写真からの情報を処理していたのだ。

もうひとつアーロンが気づいたのは、とても敏感な人は時として強く感情移入することだ。それはあたかも、他人の感情や、世界で起きている悲劇や残虐な出来事と、自分とを隔てる境界が普通よりも薄いかのようだ。彼らは非常に強固な良心を持つ傾向がある。過激な映画やテレビ番組を避ける。ちょっと間違った行動を取れば、どんな結果が生じるかを、鋭く意識する。他の人たちが「重すぎる」と考える、個人的な問題のような話題に関心をそそぐことが多い。

自分が重大な核心に迫っているのをアーロンは悟った。共感性や美に対する反応など、アーロンが敏感な人の性質としたものの多くは、心理学者が「調和性」や「開放性」といった性格特性の特徴としているものだった。だがアーロンは、それらが敏感さの根本的な部分でもあると考えた。彼女の発見は、性格心理学で認められた見解に挑むようなものだった。

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