「繊細すぎる」のは欠陥という見方を覆したのは、研究者のこの気づき

HSPの提唱者は自分も悩んでいた
スーザン・ケイン プロフィール

敏感すぎるのは「欠陥」ではない

ところが、あるとき仲間の心理学者から、あなたは「とても敏感な」人だと言われて、アーロンははっと気づいた。その言葉は自分の謎めいた欠陥をずばりと言いあてていたのだが、言った当人は欠陥として評価していなかったのだ。それは中立的な発言だった。

 

それ以降、アーロンは新しい視点から「敏感さ」と呼ばれる性質について研究をはじめた。「敏感さ」に関する文献はほとんどなかったので、関連を感じた「内向性」についての資料を大量に読んだ。高反応の子供に関するケーガンの研究や、内向型の人が社会的・感覚的刺激に敏感な傾向があることに関しての一連の実験についても詳しく調べた。それらの研究は彼女が求めているものを部分的には教えてくれたが、内向型のあらたな姿を浮き彫りにするには欠けている部分があると、アーロンは考えた。

「科学者にとって問題なのは、私たちは行動を観察しようとつとめるけれど、観察できない行動もあるという点です」とアーロンは説明する。外向型の人は笑ったり、しゃべったり、身振り手振りで表現したりすることが多いので、彼らの行動を報告するのは簡単だ。だが、「もし部屋の隅にじっと立っている人がいたとして、その人がそこでそうしている動機はいくらでも考えられるものの、心のなかを知ることはできません」ということだ。

だが、一覧表にするのは難しいものの、内的行動もまた行動であるとアーロンは考えた。それなら、パーティに連れていかれると必ず非常に居心地が悪そうにしているタイプの人々の、内的行動はいったいどんなものなのだろう? アーロンはそれを解明しようと決心した。

まずアーロンは、内向型を自認する人と、さまざまな刺激に大きく動揺するという人の計三九人と面接した。好きな映画、最初の記憶、両親との関係、友人関係、恋愛体験、クリエイティブな活動、哲学観や宗教観などについて尋ねた。その結果を基礎にして膨大な質問集をつくり、いくつかの大きな集団に対して実施した。そして、被験者たちの回答を分析して、二七の特質をまとめた。彼女はこれらの特質を持つ人々を「とても敏感な人」と名づけた。

この二七の特質の一部は、ケーガンらの研究でよく知られている。たとえば、とても敏感な人は、行動する前に熱心に観察する傾向がある。彼らは計画から大きくはずれない人生を送ろうとする。見聞きすることや、におい、痛み、コーヒーなどによる刺激に敏感であることが多い。たとえば職場やピアノの発表会などで他人に観察されたり、デートや就職面接で評価されたりするのが苦手だ。

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