マルチリンガルな両陛下
天皇皇后両陛下のご活動は、宮中祭祀、行幸啓(国内のお出まし)、国際親善など多岐に渡ります。国際親善は、外国政府や外国王族の招待を受けて外国をご訪問すること、賓客として日本を訪れる外国の国王・王族・大統領などのご接遇というように、双方向の交流を通して、親交を深めていきます。
両陛下はともにオックスフォード大学に留学経験があり、英語は堪能でいらっしゃいます。天皇陛下はフランス語とスペイン語を学ばれ、雅子さまはロシア語、ドイツ語、フランス語、スペイン語を習得なさったといわれます。マルチリンガルで国際儀礼(プロトコール)に通じた両陛下による国際親善は、国内外のメディアで称賛されています。
今回は、日本を訪れた外国要人の中でも政治家を中心に、ご接遇のシーンを振り返ってみましょう。
トランプ大統領夫妻のご接遇は、ウォームホワイトの装いで
令和元年5月、アメリカのトランプ大統領とメラニア夫人が令和初の「国賓」として、天皇皇后両陛下の接遇にあずかりました。5月27日に皇居宮殿にて公式行事、ご会見、宮中晩餐が執り行われ、5月28日には天皇皇后両陛下がトランプ大統領夫妻の滞在先であるパレスホテル東京をご訪問されました。
雅子さまは3通りのファッションをお召しになりました。公式行事とご会見はテーラードカラーのジャケットとセミフレアスカートのセットアップ、宮中晩餐はロングドレス、パレスホテル東京のご訪問はノーカラージャケットとタイトスカートのセットアップ、いずれもオールホワイトの装いですが、冷たい白ではなく、あたたかみのある白を選ばれています。こうしたちょっとした色づかいにも、雅子さまのお人柄が感じられるのではないでしょうか。
どのような会話がかわされたのか、その全貌はわかりませんが、通訳を介さずに会話をなさっているシーンが多く、トランプ大統領夫妻の表情から、両陛下の心を込めたおもてなしに心を動かされたことが伝わってきます。