73歳の島耕作が「新型コロナ」に感染…! なぜうつってしまったのか?

著者・弘兼憲史氏に事情を聞いた
弘兼 憲史

隔離生活を前向きに捉えてほしい

――今のところ、島耕作は嗅覚・味覚障害だけということで宿泊療養施設を利用しています。内部の様子もとても具体的に描かれていますね。

弘兼:実際に感染して、施設を利用した50代の会社経営者に詳細を伺いました。その話をもとに、健康チェックシートやパルスオキシメーターが入った封筒、お弁当の支給についても可能な限り忠実に描いています。ホテル内のロビーにはペッパーくんが設置され、入院患者を応援してくれたそうですが、これもリアリティがありますよね。

新型コロナ陽性反応を受けて、島耕作の隔離生活が始まる/STEP37より

――新型コロナを描くにあたって、いろいろな視点があったと思います。その中で、なぜ感染後の宿泊療養にスポットを当てたのでしょうか。

弘兼:取材を通じて様々な方に話を聞くと、「寂しい」「息苦しい」など、ホテルでの宿泊療養に否定的な人も少なくありませんでした。しかし、家庭内感染を防ぐなど良い面も多い。

島耕作は超ポジティブ人間なので、わが身の災難を受け入れて、「宿泊施設に入れない人もいる中で幸運だ」とプラス思考で過ごしています。妻の大町久美子も、夫の感染に対して冷静です。

もはや、どんなに対策しても感染する可能性がゼロになることはないので、かかってしまったことを大騒ぎするよりも、現状を把握して的確な対応をすることが重要だと思うんです。

もちろん医療関係者、重症化した患者さん、そのご家族はそうも言っていられないでしょうが、コロナ感染と明るく向き合っていく、そういうメッセージを伝えたかった。

 

――作中で、島耕作にうつしてしまったと思われるのは元部下の長須蔵治というキャラクターです。彼はどこで感染したのでしょうか。

弘兼:定年を迎えた長須は、幼稚園でボランティアで英語を教えているのですが、おそらくそこでしょうね。ついマスクを外してしまうほど夢中になって教えていましたから。子どもは軽症や無症状であることが多いため、なかなか診断されないケースもあるようです。

感染経路といえば、新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」が、アンドロイド搭載のスマホでは感染者と接触しても通知されていなかったと問題になっていました。

実は、取材した経営者もiPhoneで登録していたのに通知が来ず、自分が感染した時も家族に連絡がいかなかったそうです。他にも同様の話を聞きましたし、感染防止を訴えるからには、もっと精度を高めてくれないと困ります。

経営者の方は回復後、医療機関に血液を提供したそうです。回復した患者の血しょうには抗体が含まれていて、ワクチンや治療薬の研究などに利用されている。世間では感染の恐ろしさばかりが大きく報道されていますが、ワクチンの接種も始まりましたし、こうした未来につながる話も取り入れていきたいですね。

元部下で新型コロナに感染していた長須とお茶をしたことがきっかけだったのか…/STEP36より
編集部からのお知らせ!

関連記事

『会長 島耕作』最終話
モーニング編集部