実に奥が深い「放物線」の数学…あなたの身のまわりにもたくさんあります

注目すべきは「焦点」
横山 明日希 プロフィール

直感的な放物線の相似の説明

この2つは完全に同じ形の放物線に見えますが、それぞれ y=x^2 と y=2x^2 です。2つの違いは、座標の幅のとりかたで、ひと目盛りを1としているか2としているかです。

要するに、ある放物線を書いたあと、座標の幅をどうとるかで、どのような放物線を表すことも可能になるのです。ということは、すべての放物線は同じ形であることが言えて、やはり相似であることがわかるのです。

この事実を知っていると、放物線に対して見方が少し変わるのではないでしょうか。さらにもう少し別の視点で放物線も見ていきましょう。

パラボラアンテナが放物線である理由

さて、放物線が相似であることについて説明しましたが、ここからは放物線を活用している技術を紹介します。

それは、テレビの電波などを受信する際に活用される「パラボラアンテナ」です。パラボラアンテナは放物線の形をしている、という話はみなさんもご存じかもしれません。

ですが、なぜ放物線の形をしているか、その理由まで詳しく説明できるかというと意外と難しいものです。

ちなみにパラボラアンテナは英語表記で「parabolic antenna」です。「parabola」は放物線という意味なので、パラボラアンテナはそのまま「放物線型のアンテナ」という意味になります。

天文観測用の大きなパラボラアンテナ。家庭にある衛星放送受信用のパラボラアンテナも基本的な構造は変わらない Photo by kojihirano / iStock

パラボラアンテナは断面が、放物線の形になります。この構造が電波を受信しやすくなるのですが、そこで放物線の「焦点」と呼ばれる場所が鍵となります。

実は、y=ax^2に真上(y軸に平行の向き)から物を当てたとき、跳ね返った物体は焦点Fを通ることになるのです。放物線のどこに当たったとしても、必ずFに向かって跳ね返るのです。

跳ね返る向きは放物線とぶつかった点におい「接線」とその物体のなす角と等しい角で跳ね返ることになります。

このFの点に、電波を受信するセンサーをつけることで、パラボラアンテナは効率よく電波を受信します。

これでパラボラアンテナの中心から飛び出た部分の意味が理解できるのですが、身近にあるパラボラアンテナを見ると、少し頭を悩ませることになるかもしれません。

受信器が中心からずれているアンテナ Photo by Mikhail Artamonov/iStock

じつは家庭用の衛星放送用パラボラアンテナの多くは、真ん中からあきらかにズレたところに受信した電波を集める機器があります。オフセットパラボラアンテナと呼ばれる形状なのですが、この名前を聞いて勘が強い方はどういう形状であるかわかるかもしれません。

パラボラという名前がついているから、放物線であることは変わりありません。ただ、放物線のなかから切り出している部分が少し異なるのです。

切り出している部分が異なれど、放物線の性質は変わりありません。同じく焦点に電波を集めることができるため、問題なくパラボラアンテナとしての機能を果たします。

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