労働党大会で報告する金正恩総書記(「朝鮮中央通信」より)

バイデン政権が「朝鮮半島非核化」を実現させるための最善策は何か

「北東アジア非核兵器地帯」構想(前編)

画期的な核兵器禁止条約

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の情報は公式発表しか外国へ伝わらないが、平壌(ピョンヤン)まで出かけて行けば政府高官などから詳しい話を聞くことが出来る。

現在、コロナ禍で北朝鮮はすべての人の入国を禁止しているが、それがなければ私は米国・バイデン大統領就任の1月20日は平壌にいたはずだ。なぜならバイデン大統領が、長くて深刻な米朝対立の歴史を終わらせる可能性があると思っているからだ。

バイデン政権発足に合わせたかのように、核兵器に関する様々な動きが続いた。それらがうまく同調するならば、最終的には朝鮮半島の非核化が実現するのかもしれない。

Gettyimages

核兵器の全面的廃絶に向けた大きな一歩である「核兵器禁止条約」が、1月22日に発効した。この条約は、国連加盟国193ヵ国・地域のうちの122ヵ国の賛成で2017年7月に採択された。現在の批准国は52ヵ国だが、次第に増加することが予想される。

条約の前文は、核兵器の使用は破局的な非人道的結末を引き起こすものであり、核兵器全廃こそが2度と使われないことを保証する唯一の方法だとする。そしてこの条約は、国家の安全保障のために最高の利益をもたらすとし、被爆者や核実験の被害者の受け入れがたい苦痛についても触れている。

さらに第1条では「締約国による核兵器や核起爆装置の開発・実験・生産・製造・取得・専有・貯蔵の禁止」を謳っており、核兵器の使用やそれで威嚇することも禁じている。

「日本弁護士連合会」は、条約発効を歓迎する会長声明を発表した。

「本条約は、核兵器の使用が破局的・壊滅的な人道上の被害をもたらすことを国際法としての条約において確認したものであるとともに、核兵器の全面的廃絶を目指すその第1歩として、核兵器の使用が『国際法上違法であること』や『禁止されるべきこと』を歴史に刻印する初めての条約である」

このように、核兵器を「非人道兵器」として法的に禁止する初の国際条約という画期的なものなのだ。

条約に署名していないのは、「核兵器不拡散条約(NPT)」によって核兵器の保有を認められている米国・英国・フランス・ロシア・中国と、実質的な核保有国のインド・パキスタン・イスラエルと北朝鮮。そして、米国の「核の傘」で守られているとする日本と韓国、北大西洋条約機構(NATO)の国々だ。これら非締結国に対しては、条約による法的な拘束力はない。

広島の原爆ドーム(2009年5月9日撮影)

広島・長崎への米国による原爆投下とその後の東西冷戦によって、核兵器開発は「必要悪」として、北朝鮮を除いて容認されてきた。米国などの核保有国は、軍事衝突でも使用できるようにと核兵器の小型化や近代化を進めている。

「核兵器禁止条約」の発効で、世界で核兵器の非人道性と違法性の認識が高まり、核兵器保有国による使用や威嚇に大きなプレッシャーとなるのは確かだ。核兵器をめぐる世界の流れを、この条約は大きく変えようとしている。

 

核兵器保有によって敵の攻撃を抑止するという長期にわたって世界を支配してきた「核抑止論」は、一気に古ぼけた理論になりつつある。

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