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超エリート官僚による「家族殺人」、多くの人が“被告に同情”するワケ

「家族の責任としての殺人」は許されるか

熊沢被告は「被害者」なのか

2019年、東京都内の自宅で長男(当時44歳)を刺殺したとして殺人罪に問われていた元農水事務次官、熊沢英昭被告は東京地裁で懲役6年の実刑判決を言い渡され控訴していたが、2021年2月2日、東京高等裁判所は控訴を棄却した。

控訴審では、正当防衛が成立するとして被告人を無罪とする弁護側の主張は退けられ、懲役6年の実刑判決が言い渡された。

超エリート官僚による家族殺人は世間の耳目を集めたが、長年、息子の家庭内暴力に悩まされてきた被告に同情の声も多く、一審では、被告の減刑を求める1600通もの嘆願書が集められていたという。

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筆者は、加害者家族支援を通して、家庭内暴力に悩んだ末に心中した家族や殺人に至った事件に数多く関わっているが、加害者家族は恵まれた経済環境で社会的地位が高い人も少なくはないのである。本件はまさに、世の中が抱いている犯罪者やその家族のイメージを覆す象徴的な事件として注目してきた。

本稿では、世間の同情を集めている熊沢被告の被害者性について考えてみたい。

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