Lesson2 選ぶ傘に「スタイル」が現れる

 前原の傘は生地の種類を始め、骨の長さや数、手元の素材、タッセルなどの付属品などあらゆるパーツを選ぶことが可能。唯一無二の傘をデザインできるため、ギフトにもおすすめです。

手元は傘の表情を豊かにしてくれる重要なパーツのひとつ。天然素材の木製を中心に様々な素材があり経年変化を楽しめます。曲げではなく型抜きで成形しているため、個体差はなく均一的な仕上がり。タッセルをつけるのもおすすめです。

森岡 僕は以前、前原の傘を愛用していましたが、残念なことにもう手元にないんです。前原の傘の難点を一つだけあげるとすれば、良い傘ゆえに盗られてしまうことですね。
中野 それはつまり、良い傘は持ち運ぶ場所も考えなければならないということ。こういった類の傘は、きちんと預かってくれるクロークがあるような場所に行くときに持とう、と。バッグと同じように扱うものだと思います。
森岡 言うならば実用品ではなく、装飾品と同じ部類ですよね。傘一つでスタイルの格を落とすという可能性も十分にありますし。ビニール傘でOKとしてしまうと、せっかく着こなしが完璧でもそれなりの印象になってしまう。もちろん、ビニール傘には使い勝手が良く、万が一失くしても諦めがつくといった手軽さみたいなものはありますけどね。けれども、そういう考え方は風の時代で変化してくのではないかと思います。

一つ一つ手仕事で作られた動きのある大きめのタッセル。手元に取り付けると一気に華やかさが増します。傘をさすときに指に巻きこむと、手元をしっかりと持つことができるという実用的な部分も。ジャンボタッセル各¥1430~(税込)/前原光榮商店

中野 どのような傘を選ぶかで、その人となりも見えてくるような気がしますね。
森岡 僕の中で傘は万年筆と同じカテゴリーです。この時代、それらは必ずしも必要なものではない。けれど、そういう時代だからこそ、あえて万年筆を持っているとかっこいいし素敵だと思いますね。それは、時計も同じ。時間を確認したければスマートフォンで事足りるけれど、それでも身につけるのは、スタイルを仕上げるための1つのアイテムだから。雨が降るときにどのような傘を選ぶかで、その人のスタイルが見えると思います。