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女性の自死が増加…それでも男性は女性より「自殺しやすい」、その「心理学的」理由

人間関係のケアを怠る男たち

女性の自殺も増えているが…

コロナ禍に見舞われた2020年の日本では、自殺数の増加が深刻な問題となった。警視庁の発表によると、10月の自殺者数は前年同月比で約40パーセントも増加した。

コロナ禍で特に問題視されているのが、女性の自殺者数の増加だ。10月の女性の自殺者は879人であり、前年に比べて約80%も増えているのである。それに比べると、男性の自殺者数の増加率は約20%に留まっている。しかし、2020年10月の男性の自殺者数は1320人であり、女性の自殺者数の1.5倍である。つまり、女性の自殺者数が急激に増えても、男性の自殺者数はそれを上回っているのだ。

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2019年の自殺者の総計を見ると、女性が6091人であるのに対して男性は1万4078人であり、男性は女性のおよそ2.3倍である。そして、2000年以降の日本の自殺者数を見てみると、いずれの年でも男性の自殺者数は女性の2倍以上なのだ。つまり、コロナ禍であるかないかに関わらず、男性は女性よりもずっと多く自殺している。

さらに、この傾向は日本に限ったものではない。2000年以降のアメリカでは、男性の自殺者数は女性の3倍以上となっている。ヨーロッパや南米、アフリカや中東などのほとんどの国において、男性の自殺者数は女性の2倍や3倍であるのだ(ただし、中国は例外であり、女性の自殺者数が男性の自殺者数をやや上回っている)。

そう、男性は、自殺しやすい性別なのである。

「男性の自殺率の高さ」という問題を説明するときにもっともよく用いられるのが、ジェンダー論という枠組みだ。

ジェンダー論では、「男らしさ」や「女らしさ」という言葉で表現されるような男女の特徴は、自然なものではなく社会的に構築されたものであり、家庭や学校、教育、メディアにおける表現などを通じて個人に押し付けられるものである、ということが前提にされる。たとえば、ジェンダー論の研究者である田中俊之は、「男性の自殺」という問題の原因を「男性役割」や「男らしさ」という社会規範に見出した議論を行なっている 。

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