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平等な被害という幻想…アメリカ民主党がこれから直面する格差

三浦瑠麗さんインタビュー(2)

新型コロナ危機、首相交代、アメリカ大統領選……激動の2020年とは一体何だったのか。そして2021年はどのような年になるのか。国際政治学者の三浦瑠麗さんが語るアメリカ大統領選。バイデンが勝利した理由、コロナ対策で民主党が理解していなかったこと、トランプ政権の「最大の誤り」とは――。

三浦瑠麗さん
 

新型コロナがもたらしたバイデン勝利

2020年年初の時点ではアメリカ経済が好調でしたので、政権交代は起きないと思われていました。

トランプ政権で格差が広がったという人がいますが、格差はトランプ氏が大統領に就任する前から広がっていました。むしろトランプ政権は景気を良くして失業率を低下させ、また中間層に対しても減税や子育て控除などを行ったので、多くの人の生活が楽になったはずです。

トランプ政権によって受益したと感じる中間層がかなりいたこと、バイデン氏が「弱い候補」だったことの2点からトランプ氏の再選は固いという雰囲気でした。ところがそこに新型コロナウイルスという予想外のファクターが入ってきたわけです。

トランプ氏は新型コロナウイルスに対して、当初、原則としては常識的な対策をしていました。感染症で被害が出ることは分かっているが、経済活動を止めるという選択肢はありえない。経済活動を止めるほうがダメージは大きいと認識していたからです。

そこでトランプ政権が力を入れたのは、ワクチン開発に大量の政府資金を投入することでした。これは大きく成功したわけです。

トランプ氏はデマを流す、国際的リーダーシップを発揮せず、世界に背を向けるといった問題点が多々あったと思います。一方で、政策全体としては経済対策パッケージもウイルス対策もさほどおかしなものではなかったというのが私の評価です。ただ、マスクの適切な使用の効果に関しては、米国疾病予防管理センター(CDC)含め、もっと早く気付くべきだったでしょう。

アメリカにとって悲劇だったのは、新型コロナウイルスに対する対応が政治闘争と絡んでしまったことです。トランプ氏とニューヨーク州のクオモ知事との対立が典型ですね。

大統領選挙イヤーだったことが政治闘争に拍車をかけ、結果的に民主党に大きな追い風になりました。新型コロナウイルスがなければバイデン氏の勝利はなかったでしょう。

トランプ氏を批判する声は大きかったですが、蓋を開けてみれば勝負がかかる接戦州はいずれも大接戦でした。世論調査を見ると、経済を重視する人はトランプさんを支持し、新型コロナウイルスに怯えている人はバイデンさんを支持する傾向が出ていました。

歴史にもしもはありませんが、新型コロナウイルスのワクチンが行き渡り始めてから選挙が行われていたら、結果は変わっていたかもしれません。

政権交代までに2000万人弱が一回目のワクチン接種を受けているのですから、オペレーションは効果的かつ迅速だったと言うべきでしょう。しかし、党派性がすべてを支配しているため、それを米主要メディアは評価しないのです。

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