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『その女、ジルバ』に絶賛の声! なぜ池脇千鶴は「劣化」「老婆」の侮蔑を吹き飛ばせたのか?

木村 隆志 プロフィール

過去にもあった心ない声

民放連ドラから離れた池脇は、『ジョゼと虎と魚たち』『ストロベリーショートケイクス』などの映画で称賛を集めていた。

また、池脇は30代に入ってから、2013年に『舟を編む』『凶悪』『潔く柔く』で第38回報知映画賞 最優秀助演女優賞、2014年に『そこのみにて光り輝く』で第38回日本アカデミー賞 優秀主演女優賞、第9回アジア・フィルム・アワード 助演女優賞など、2019年に『半世界』で第76回毎日映画コンクール 女優助演賞、第93回キネマ旬報ベスト・テン 助演女優賞などを受賞。

最近だけでも、李相日監督の『怒り』、是枝裕和監督の『万引き家族』、阪本順治監督の『半世界』、山田洋次監督の『男はつらいよ お帰り 寅さん』と名監督の作品に出演するなど、映画界屈指の演技派となっていた。

なかでも特筆すべきは2015年の映画『きみはいい子』。池脇は二児の母・大宮陽子を演じるために、本人いわく「これ以上太れないところまで太って」撮影に臨み、今回ほどではないものの「激太りか?」と言われていた。

photo by gettyimages

しかし、同作の公開終了後、池脇の外見は元に戻っていただけに、『その女、ジルバ』も放送終了後には元に戻っているのではないか。

池脇がまだ20代のころに取材したことがあるが、拍子抜けするほど飾らない自然体の人だった。『その女、ジルバ』のテーマでもある「老い」に対しても同様で、アンチエイジングなどの若作りに走らず、役作りを追求するプロフェッショナル。実際、時間をかけて作品性の高さを追求する映画を主戦場とし、恋愛・結婚より女優業を優先させ、かつて「演じる仕事は私の人生」と語っていたことからもプロ魂が感じられる。

そんな池脇にとって『その女、ジルバ』は9年ぶりの連ドラ主演であり、民放連ドラでは事実上の初主演。しかも、自分の年齢とほぼ同じ新と、伝説のホステス「ジルバ」の2役に挑む以上、最大限の役作りに挑むのは当然なのかもしれない。

 

『その女、ジルバ』は女性たちの物語だけに、ジェンダー論に結びつけようとするメディアも少なくない。しかし、そんなややこしいものを語る以前に、その演技で「劣化」などの侮蔑を軽やかに吹き飛ばしてしまった池脇の凄さをもっとフィーチャーすべきだろう。

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