ジャーナリストの島沢優子さんは、自身もバスケットボール選手としてインカレで優勝した経験があり、様々なスポーツ指導の現場も取材を重ねてきた。
男性と女性とでパワーや体力に差があり、男女別の競技があるわけだが、それと「男だから」「女だから」と線を引くのはまったく別の問題だ。小学生のスポーツの場でそれがどのように影響していくのだろうか。

島沢優子さん連載「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」今までの記事はこちら
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「女だろ!」はなぜネガティブなのか

1月18日にアップされた前回の連載「箱根駅伝・駒沢大学 大八木監督『男だろ!』への疑問の声が炎上した背景」には、多くの反響があった。スポーツにおけるジェンダーを考えるきっかけになれば有難い。
私に寄せられたもので、下記のような意見が印象に残った。

「スポーツで、女だから頑張れとは言われません。“女だろ”は、女性にとってネガティブな言葉です」

では、スポーツで「女だろ」と言われる場面は、どんなものだろうか。
東日本にあるスポーツ系の大学で教員を務める40代の女性は「競技名は言えませんが、女子におかしなルールを課している部がありますね」とため息をつく。

例えば「刈り上げ禁止」。監督に見つかると、選手たちは呼び出されて叱られると聞く。
「どう叱られるかまでは知りませんが、女性なんだから女性らしくしろということなんだと思います」

加えて、私服にも口を出すそうだ。
「70歳近い監督さんなのですが、選手を自分の好みの女性像に近づけたいんでしょうね。選手たちも、監督の好みになっておけば、(監督が)機嫌が悪くならないので、近づけるわけです」

監督の好みの髪型はロングヘア。 
「結果的に、プレーも姿も監督好みになれば起用してもらえる、みたいなところはあるでしょう。一般の方はばかばかしいと思うでしょうが、スポーツ選手にとって試合に出られるか否かは最大のポイント。だから、納得してなかったとしても自分を捨てるんですよ」

自分を捨てるまでかはわからないが、首都圏のある大学ではアウェーゲームの際に着用するスーツは「スカート」と決まっている部がある。所属する娘をもつ50代の父親はこう言って首をかしげる。

「(娘が)パンツでもいいですか?と先輩に尋ねたら、長年のルールだから、と言われたそうです。LGBTの学生が入ってくるかもしれないとか思うし、何より学生に選択させないというところが嫌ですね」

女だろと口に出してまでは言われないものの、学生たちは抑圧的なものを感じているのではないか。

高校以下の制服も女子でもパンツができてきている中、大学生で移動にスカートでなければならないというのはたしかに理解しがたい Photo by iStock