地方そのものも危ない
地方の問題は「忖度した数字」を中央に送り続けることだけではない。その「飾り立てられた数字」を基に地方政府独自で資金調達を行っていることが「爆弾」だとも言える。
地方政府が独自に資金調達を行うのは、「地域経済振興」が大義名分である。もちろん、一部の資金はそのような目的に使われるだろうが、多くの資金が「地方共産党幹部振興」=「地方幹部の私的利益確保」のために使われる。
「地域経済振興」のために使われた資金は、うまくいけば実際に地域経済を活性化させ利益を生むから返済可能である。
しかし「地方共産党幹部振興」のために使われた資金は、彼らの懐に入るだけで、例え利益を生んだとしても返済するつもりはない。
これまでは、中国全体の経済が好調で、貸し手が次から次へと現れたから、いわゆる「ねずみ講原理」で、「借金を借金で返す」ことも難しくはなかった、しかし、ねずみ講が最終的には破綻することが明らかなように、「借金の自転車操業」もいつか終わる。
米中貿易摩擦、中国・武漢発のパンデミックなど、経済悪化要因が満載の中で、中央政府が「共産党発表」を続けるのは、「中国経済成長というシナリオ」が崩壊すれば、地方の借金問題が急浮上するという側面もあると考えられる。