「予想利益成長率」を見よ!
そして、注目すべきはやはり「予想利益成長率」だ。こちらは、昨年下落、昨年上昇の大枠の群の間というよりも、その中の小系列間で大きな差異が見られた。

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昨年下落群では反転上昇の銘柄が、昨年上昇群では上昇継続の銘柄が、12カ月先、3期先ともに成長率が高くなっていることが分かる。これは、シンプルに昨年の上昇・下落というそれぞれの枠組みの内側でも、銘柄の成長率が正当に評価されていることを示している。
ただし、冒頭の部分を思い返してみると、本来は2021年初から日本株市場全体で「割安株が上昇し、割高株は売られている」という事実があったはずだ。加えて、昨年下落した銘柄のバリュエーションは割安で、上昇した銘柄のバリュエーションは割高であったこともまた事実である。
言い換えれば、一般論として割安株はバリュー株、割高株はグロース株と言われがちだが、水準の高低にたいした意味はなく、それよりも純粋な成長性が重視される状況に変わりはないことになろう。
おそらく、成長見込みが薄く、万年割安で放置されていた銘柄が、楽観論の台頭によって急激に業績見通しを切り上げてきたのが原因かと思われる。
実際に、反転上昇組の短期・長期の成長率は上昇継続群よりも高くなり始めており(もともと発射台が低いことも原因かと思われるが)、一方で、割高な成長株の中でも、その成長性に陰りが見えだした銘柄や、過度に上昇しすぎた銘柄への修正が入り始め、単純なモメンタム銘柄の中から選別が行われ始めたということだろう。