運が良くなるように生きていくということ
しかし、話はそれだけでは終わりません。この話には続きがあります。
ある日、会社の秘書の採用面接で、とても笑顔が素敵で上品な女性が来ました。その女性の履歴書を見ると、住所が学生時代に住んでいたアパートに近かったのです。
そこで、僕にしてくれたように、「……火事になったけれど、焼け跡から空き缶に入ったお金は出てきた。私は、運がいいですよ」と話したそうです。
すると、その女性は、
「もう他界した祖母から聞いた話に非常によく似ています。昔、祖母がアパートの大家をしていた頃、勉強もしないでアルバイトばかりしているけど、とても素敵な学生さんが住んでいたということです。毎朝、笑顔で元気よく挨拶をして、将来は起業すると夢を語っていたそうです。
しかし、ある日、そのアパートが全焼してしまい、学生さんが空き缶に貯めていたお金も失ってしまったと聞きました。祖母は、落ち込んでいる学生さんを見かねて、焼け跡からそれらしき空き缶を見つけて、自分のお金に煤を付けて渡したと言っていました」
その女性は、おばあさんの孫だったのです。
「挨拶は元気よくしなさい。その学生さんは毎朝元気よく挨拶をしてくれて、とても素敵な子だったから助けてあげたんだよ。あんなに良い子じゃなかったらそんなことはしなかった」
と、よくその女性に言い聞かせていたそうです。
社長は、単純に火事の中からお金が出てきたから「自分は運がいい」と思っていたのに、実はおばあさんに助けられていたのです。