「質問取り」は、深夜勤務の元凶であるとして、数年前から問題視されるようになった。
質問通告は前日の昼頃までとなっているのだが、実際には、夜遅くになってしまうことが多い。官庁では、その間、待機している。そして、深夜からの作業が必要になってしまうのだ。
これがいかに辛いことか、私にはよく分かる。なぜなら50年前、私は大蔵省(現在の財務省)主計局調査課で課長補佐をしており、その仕事をさせられていたからだ。
質問が来るのが10時過ぎだ。他省庁宛の質問の場合、各省庁がまず答弁を用意し、それができた後で、主計局の各係にチェックしてもらう。調整が終わるのは、深夜の2時、3時になってしまう。
超勤時間が月に300時間を超えてしまうこともあった。ピーク時には、家に帰れなくなる。時々家に戻ると、翌朝出勤する時に、子供たちから「お父さんまた来てね」と言われた。これは、創作ではない。実際にあったことだ。
その頃に比べて、役人の相対的地位は低下している。だから、若手官僚にとって事態が悪化していることは、容易に想像できる。