あなたの子があなたに似ているのは、DNAの塩基配列のためだけじゃないかも!?

獲得形質も遺伝するけど用不用ではない
更科 功 プロフィール

ラマルクもダーウィンも間違っていたけれど

獲得形質が遺伝することはラマルクもダーウィンも主張していたが、有名なのはラマルクの説である。

ラマルクが主張した考えは、用不用説と言われる。親の世代でよく使う器官が発達すると、その発達した器官が子供の世代にも伝わるという説だ。ここでは、用不用的獲得形質の遺伝と呼ぶことにしよう。

【イラスト】用不用説(キリンの例)キリンの首が長い理由を、ラマルクは「長いあいだ伸し続けたため」と使用による発達を説いたのに対し、ダーウィンは「首の長い個体の子孫が増えたため」と有利な変異が広がることを説いた photo by gettyimages

一方、セイヨウタンポポなどで報告されている獲得形質が遺伝する現象は、環境の変化が原因になっている。環境の変化が原因で、DNAのメチル化などのエピジェネティクスが起こったのだ。ここでは、環境要因的獲得形質の遺伝と呼んでおこう。

環境要因的獲得形質の遺伝は、さまざまな生物で報告されているけれど、ラマルク説のような用不用的獲得形質の遺伝は、まったく報告されていない。ラマルク説は復活などしていないのである。

ちなみにダーウィンも、用不用的獲得形質の遺伝を主張していたが、もちろん今日では認められていない。ラマルクの主張した獲得形質の遺伝説も、ダーウィンが主張した獲得形質の遺伝説も、現在まで生き残ることはできなかった。生き残ったのは、ダーウィンの自然淘汰説であった。そして、自然淘汰は塩基配列の変化だけでなく、エピジェネティックな変化にも作用する。つまり、環境要因的獲得形質にも自然淘汰は作用するのである。

しばしば「ダーウィン進化論」という言葉を耳にする。この言葉が何を意味しているのかよくわからないけれど、もしも自然選択説を指すのであれば、「ダーウィン進化論」は現在においてゆるぎなく確立した理論である。いっぽう、もしも用不用的獲得形質の遺伝を指すのであれば、「ダーウィン進化論」は根底から揺さぶられて、すでに転覆していると言ってよいだろう。

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